ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」11月28日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。入管難民法改正案について解説した。
入管難民法改正案が衆議院を通過
外国人労働者の受け入れ拡大に向けた入管難民法改正案は昨日の夜、衆院本会議で採決が行われ、賛成多数で可決、参議院に送られた。与党側は本日28日の参院本会議で法案の審議に入りたい考えだ。
飯田)国会で焦点となっていた重要法案と言われておりますが、リスナーの方からもご意見を頂いています。こちら“タリー”さん、「国会で議論されるときに想定されている外国人労働者の姿と、実際に外国人労働者を雇いたい業者と、この制度に反対する勢力とで想定している外国人労働者像が違い過ぎるのではないでしょうか。この溝を埋めないままでは議論が進むはずは無い、拙速と言われても仕方がない」と頂きました。
高橋)拙速というのは間違い無いでしょうね。もともと諮問会議でやり始めたのが今年の2月か3月、そういうレベルでしょう。普通の感覚からしたら1年違うという感じはします。
飯田)1年早い。
高橋)普通は1年間くらい、いろいろな審議会でよく揉んでからです。諮問会議はほとんど議論できないから、もっと違うところで揉んでやるというのが普通ですけれどね。その外形的なところを見ても、役人の印象で見ても早くやっているなと、答弁もきちんとできていないという印象がありますね。中身自体も労働者を入れたら賃金が上がらなくなります。「賃金が上がらなくなってまでやるのか」という議論はありますよね。
外国人労働者が増えれば賃金は上がらない
飯田)ここに関しては賃金が上がらないのではないか、むしろ下押しになるのではないかという話は、よく答弁でも突っ込まれていましたけれども。
高橋)それはそうでしょう。
飯田)「基本的にそんなことはない、待遇は一律にするのだ」という話をしています。
高橋)一律と言ったって、業界の方は安い労働力が欲しいからという理由でやっているだけですから。
飯田)結局、表では言わないけれどそういうことですよね。
高橋)それはそうですよ。人数が増えれば必ずそうなりますし。私はいろいろな分析をしているのですけれど、業種ごとに外国人の浸透度というものがあって、賃金の上りの度合いを見ると、やっぱり浸透度の大きい方が上がらないのですよ。いままでも100万人以上受け入れて来て、賃金が上がらないというのは事実なのです。外国人が増えれば増える程上がらなくなるということは、データとして明らかに出ていますから。
長距離輸送~自動運転が今後カギとなる
飯田)その賃金についてです。53歳トラックドライバーの“ひで爺”さん、「他の業界の人手不足というのはよく分からないですが、我々運送業界に至っては、どこの会社もドライバー不足。特に若者の様子は見込めないのが現状です。最大の原因は低賃金にあります。ドライバーの賃金を上げるには運賃の値上げなしにはあり得ません」と。30歳から大型のドライバーをされているそうですが、「3回賃金がダウンして20年間ボーナスをもらっていません。そんな業界に若者は来ませんよ」と頂きました。
高橋)そうですね。このような大変な業界は、できれば自動運転にするということです。高速でしたらいまでも自動運転できます。高速の長距離のところはみんな自動運転になって、最後ターミナルの後だけ人間となる確率は高いのではないですか。
飯田)なるほど。長距離輸送はそちらにシフトして行かざるを得ないということですね。
高橋)少なくとも高速は自動運転にできますから。
飯田)運賃の適正化ですが、一時期各社値上げというものがありましたが、最近はあまり聞かなくなってしまいましたね。
高橋)そうですね。どうしたのですかね。
飯田)市場原理で行くと、値下げ圧力みたいなものもあるのでしょうけれど、現場のコストを積み上げて行ったら、「これではとてもやれない」ということがいくらでもあるということですか?
高橋)そのときに自動化とか、そういうものがカギになるのですよね。これは業界によって対応がさまざまですが、基本はやはり総枠の外国人労働者を抑えるくらいのことをしないと、実は上手く回らないと思うのですけれどね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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