入管難民法~どこから、どのくらいの規模で、どのような資格で受け入れると言うのか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月13日放送)にジャーナリストの有本香が出演。衆議院で審議入りする外国人労働者の受け入れ拡大の問題点について解説した。

入管難民法~どこから、どのくらいの規模で、どのような資格で受け入れると言うのか
外国人労働者の受け入れ、きょう衆院本会議で審議入り

外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案は、きょう午後、衆院本会議で審議入りする。安倍総理は昨日の政府与党連絡会議で、「丁寧な説明を尽くし成立を期す」と強調。政府は12月10日の会期末までに成立させ、来年4月1日の制度導入を目指す。

飯田)野党側は、受け入れ体制など具体的な制度設計が不十分で、今国会での成立は認められないなどとしています。論戦になるのかというところです。

有本)残念ながら、多分本格的な論戦にはならないと思います。

飯田)ならない。

有本)結論から言いますと、私はこの問題に4年ぐらい前から注目しつつ、時折取材もして来ました。今年の夏は産経新聞の『正論』という雑誌に3回連続で寄稿しています。
そこでは問題点を挙げたに過ぎないのですが、その問題点のすべてが議論されることは期待できません。野党は反与党ということでの反対に過ぎないと私は思っていて、本質論になかなか入らないだろうなと思います。

入管難民法~どこから、どのくらいの規模で、どのような資格で受け入れると言うのか
社会保険から管理の方法まで~これだけある問題

有本)いろいろな問題点があります。「外国人労働者を受け入れます。これは移民ではありません」と言っていますが、与党側からも、特に特定技能2号という人たちは家族を帯同すること、あるいは長期で在留するということで、事実上の移民政策につながるのではないかという声が上がっている。これは正しいようで、実はあまり正しくないのですね。2号の人たちについては当然なのですが、1号まで含めてそもそも新たな受け入れの入口を開けることになれば、当然、移民政策につながる入口を開けているに過ぎないのですよ。そこをまず認めないで、政府が頑なに「移民ではない」と言い続けることの無意味さ。
日本は年間40万人近い人が、1年以上の在留資格を持って入って来ています。ですから、もうすでに移民は常態化しているのです。そのなかで新たな入口を開けるわけですが、これを機会に議論しなくてはいけないことが多過ぎますね。
例えば、社会保障をどのようにするのか。外国人と国民との間で、国民及び一部の永住者と言っていいと思いますが、そこで切り分けるのかということ。もう1つは、今回政府は新たな役所を作って、「新たに来る方たちが入ったところから、ずっと管理をして行く」と言っていますが、そんなこと事実上は難しいでしょ、ということなのです。

入管難民法~どこから、どのくらいの規模で、どのような資格で受け入れると言うのか
技能研修生~1年間で7,000人以上が行方不明という事実

飯田)法務省の外局のような形で、入国管理庁を作るという話ですが。

有本)入国管理庁を作って格上げすると。しかし仮に新たな在留資格が通っても通らなくても、現状でいろいろと不安な面があるのです。例えば、外国人の技能研修生という制度。いまの在留資格で入って来ている人だけでも、たった1年間で7,000人以上行方不明になっている事実がある。これは全部不法滞在者になっているのです。

飯田)1年経って期限が来れば、当然その先は不法滞在になってしまう。

有本)そういう人たちがすでにこれだけ生まれていて、新たな役所ができます、権限も持たせます、それでいままでの問題点は全部解決されるのですか? 今度新たに来る人たちを、きちんと年限が来たらお帰りいただくという仕組みはどうやって作るのか、全く見えて来ません。
そして、不法滞在の人々がどうやって日本社会で生きているかと言えば、日本の社会保障をはじめとするいろいろな制度が緩いから、抜け道がある。まず最初にそういうところを塞ぐことからやるべきです。本会議で、「この法案だけを審議します」ということではなくて。

入管難民法~どこから、どのくらいの規模で、どのような資格で受け入れると言うのか
どこから、どのくらいの規模で、どのような資格で受け入れるのか

有本)例えば健康保険法。これは一部改正の方向で動くという報道が数日前にありましたが、私から言わせれば見せかけに過ぎないと思います。外国人に関しての社会保険だけ、特に一部その外国にいる家族、帯同していない家族にまで及ばせないようにするという点だけを切り出して、「ほら、ここ手当したでしょ」みたいな話です。「いやいやそうじゃなくて、国民健康保険はどうなっているのか」という話なのですよ。こういうことを全部根幹から議論した上で、外国人を受け入れましょう。しかも、野党側ももちろん指摘していますが、「外国人の労働者を一体どの程度入れるのですか?」という問題。敢えてそこに付け加えれば、「どこから入れるのですか?」「どこからどのぐらいの規模で、どのような資格で受け入れるのですか?」ということ。正にこれが戦略なのですよ。この部分がまったく示されないまま、人手不足ありきというのは極めて危険な話ですね。

飯田)分野に限ってでもなく、とにかく人手不足だから入れなくてはと。特に経済界に近いところはね。

有本)だけど経済界だって、本格的にこの人たちに対して責任を持とうとは言えないはずですよ。「その人たちがどっか逃げちゃいました」となっても、企業は責任の持ちようが無いわけですから。

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