あなたは“クリスマス”誕生の秘密をご存知ですか?
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第524回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、11月30日公開の『Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~』を掘り起こします。
「クリスマス・キャロル」の誕生秘話を描いたファンタジードラマ
明日から12月。今年もクリスマスシーズンの到来に、胸を高鳴らせている人も多いのではないでしょうか。聖なる夜に家族が集って贈り物を交換し、お互いの幸せを祈り合う。世界中で行われているこのクリスマスのお祝いのルーツは、実は、イギリスの文豪チャールズ・ディケンズの名作「クリスマス・キャロル」が由来となっているのです。
『Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~』は、そんな「クリスマス・キャロル」の誕生秘話を綴ったファンタジー映画。クリスマス気分をいち早く楽しめる、この季節にピッタリの作品です。
1843年、ロンドン。かつてはベストセラー作家のチャールズ・ディケンズは、いまやすっかり落ち目となってしまい、スランプに陥っていた。それでも家族のために、どうにかベストセラーを生み出したいと思っていたディケンズは、クリスマスを題材にした小説を書くことを思いつく。出版社との関係も悪化するなか、クリスマスシーズンに向けて残された執筆期間はわずか6週間。起死回生を狙って新作の構想を練っていたある日、ディケンズは、アイルランド人のメイド・タラが子どもたちにクリスマスのストーリーを語っているのを耳にする。それは「クリスマスイヴの日には、あの世との境界線が薄くなって、精霊たちがこの世にやって来る」というものだった。やがて小説の世界に入り込み、執筆に没頭するディケンズは、現実と幻想の境目が曖昧になっていき…。
主人公チャールズ・ディケンズを演じるのは、ドラマや映画で絶大な人気を誇るダン・スティーヴンス。自身が生み出したキャラクターと対話しながら、新作の執筆に挑む天才作家を瑞々しく演じています。一方、ディケンズの分身のように目の前に現れてはインスピレーションを与えるスクルージ役に、オスカー俳優のクリストファー・プラマー。ちょっぴり偏屈だけどユーモアあふれるスクルージ像を体現しました。
そして息子に頼ってばかりなのに、どこか憎めないディケンズの父をジョナサン・プライスが好演。イギリスを代表する実力派俳優たちが、チャールズ・ディケンズの世界を鮮やかに彩ります。
とてもファンタジックな作風であると同時に、ディケンズ自身の幼少期の隠された記憶や実父との確執にも触れている本作は、チャールズ・ディケンズという国民的作家の“心の旅”を描いた人間ドラマとしても見応えたっぷり。文学好きにとってもオススメの1作です。
Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~
2018年11月30日(金)から新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督:バハラット・ナルルーリ
原作:レス・スタンディフォード 脚本:スーザン・コイン 音楽:マイケル・ダナ
出演:ダン・スティーヴンス、クリストファー・プラマー、ジョナサン・プライス、モーフィッド・クラーク、ドナルド・サンプター ほか
超訳吹替版:小野大輔、市村正親、坂本真綾、江原正士 ほか
©BAH HUMBUG FILMS INC & PARRALLEL FILMS (TMWIC) LTD 2017
公式サイト https://merrychristmas-movie.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/