消費増税対策~減税は車と住宅…そこから?

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月17日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。2019年度の与党税制改正大綱の決定について解説した。

消費増税対策~減税は車と住宅…そこから?
消費増税対策で、車・住宅1,670億円減税決定

自民・公明両党は先週末、2019年度与党税制改正大綱を決定し、来年10月の消費増税10%への税率引き上げに伴う経済対策として、自動車や住宅購入者への減税を盛り込んだ。両者を合わせると1,670億円の減税となり、財政再建よりも景気対策を重視した税制改正となる。

飯田)車の減税は消費増税後に新車を購入した人が毎年納める自動車税、これを無期限に引き下げる。さらに住宅では住宅ローン減税、これは現在10年間ですが、増税後に物件を購入した人には3年延長するということが出て来ています。

須田)この税制改正大綱は翌年の国の歳入の骨格を決めるという点で、微調整をするわけですが、来年はどういうところに政策的に重点を置いて行くのかが、ここから見えて来るわけです。
ラジオをお聞きの皆さんにご理解いただきたいのですが、減税というものはただ税金をもらわないということではなく、本来もらうべきものをもらわないということですから、形を変えた補助金なのだと、こういった分野に補助金を配分して行くということです。だからこそ、「その分の財源をどこに求めるのですか?」という議論になる。政府は消費税率を8%から10%に引き上げることに相当な警戒感を持っている。これに対して何とか景気の失速を回避して行こうというところが、今回の税制改正大綱から強くうかがえます。ただどうなのでしょう、車・住宅と、言ってみれば消費税によって大きな税負担がかかる分野に対して、重点的に補助金を投入したという話になっていますが、「そこから?」という感じがしないでもない。
2%の増税によって消費を控えるところは車とか住宅ではなくて、ほかの分野、例えば飲食であるとか家庭電化製品とか、比較的少額の耐久消費財というところに影響が及ぶのではないかと思うのですが、そういう部分への対策が今回の大綱から伺えない。軽減税率のところはあるにせよ、ここはさほど大きく影響がないのではないかなと思います。

消費増税対策~減税は車と住宅…そこから?
軽減税率は公明党の顔を立てた政治的決着

飯田)軽減税率は、よくわからないと言うか、どれが適用になるのかが線引きのところで揉めそうですよね。

須田)実は税理士の皆さんは軽減税率に大反対なのです。導入するなと強力なキャンペーンをやって来た。
その理由はふたつあって、ひとつは複雑な税制によって現場が大混乱に陥るということが1点目。そして2点目はさほど大きな影響、効果がないと税のプロたちは認識しています。ですから年末に向けて軽減税率の取り扱いについて注目されていたのですが、これは政治的な決着です。要するに公明党に対する配慮ではないでしょうか。消費税引き上げを認める代わりに軽減税率を導入しろ、ということを連立のパートナーの公明党が主張をして来たために、自民党は「これ、効果ねーだろうな」と分かりつつも、公明党の顔を立てたということになるのでしょう。そういった意味では政治的決着と考えてもらっていいと思います。

飯田)今回の増税でいろいろ仕組も変わる部分もあったりして、仕入れたときに消費税をはらいます、それを今度売るときに転嫁しますと。中小企業は特にみなしで税額を決めていたのを、これから先は仕入れ値に応じて変えて行くインボイス方式と言うらしいのですが、これを税理士の知り合いに聞きました。「これが適用されちゃうと、いままで消費税をもらっていたけれど、みなしで益になっていた部分を中小企業が丸裸にされて、税金で全部持って行かれたら、利益が出なくなっちゃうよ」という指摘をする人もいました。中小企業は厳しくなる?

須田)インボイス方式にする方が、きちんと大企業から貰えるというところもあります。ですからきちんと税務申告をしていたところは大丈夫だろうけれど、そこで鉛筆舐め舐めしていたところは影響を受けるのだろうなと思いますけれどね。

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