ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月17日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。ファーウェイの孟容疑者がカナダからアメリカへ身柄引き渡し手続きが進められていることについて解説した
ファーウェイ孟氏、アメリカへ引き渡し手続きか
アメリカ・カナダ両政府は14日、中国が通信機器大手ファーウェイの孟晩舟副会長の逮捕に反発し、カナダ人2人を拘束したことで対応策を協議した。アメリカのポンペオ国務長官が中国にカナダ人2人の早期解放を要求するとともに、孟容疑者のアメリカへの身柄引き渡しについて手続きが進められていると明らかにした。
飯田)ポンペオ氏は不法な拘束は容認できないと述べ、中国にカナダ人2人の早期解放を要求しているということです。もはや米中、ファーウェイだけの問題ではないと言われていますが、孟副会長はどうなるのでしょうか?
須田)ファイブ・アイズというものがあります。アメリカ・カナダ・イギリス・ニュージーランド・オーストラリアで、通信上の情報に関して相互に連携して情報を一元的にとって行こうと、アメリカのNSA・国家安全保障局が構築しているネットワークです。いまはファイブアイズプラスワンとして何とか日本がそこに加わろうとしています。情報漏洩ということに関してはカナダはアメリカの同盟国です。ですからこういった連携がとられているのです。ファイブ・アイズVS中国という、そういった構図がいま、浮き彫りになりつつあるのだろうと思います。中国としてはアメリカだってGoogleやYahoo!、そういうところから情報を取っているではないか、必要なときに必要な対象から情報を取るようなシステムが構築されているではないか、「それを防ぐために中国は中国独自のプラットフォームを作り、自分たちも同じような仕組みを作ったのに、なぜ我々だけがやり玉に挙げられるのか」と、これが本音だと思います。「それを言ってしまったらおしまいよ」というような世界ですが、ベースとしてはそういう気持ちがある。今回の一件はアメリカだって引くに引けない状況でしょうし、中国だって同様。ですからどういう形で落としどころを作るのか、このあたりのことが現状では見えていないと思います。
飯田)そうなって来ると、第二次大戦前の秩序のなかで、「みんな列強植民地支配しているのに何で俺だけダメなんだ?」と日本やドイツが怒ったのと似た構図を感じます。
ファイブ・アイズ VS 中国という構図~ヨーロッパがどう動くかが焦点に
須田)サイバー空間、インターネット空間で同じような争いが起こっていて、間違いなくそれは中国封じ込めというところです。では、なぜいまのドイツがファーウェイを排除しないのかと言うと、ファイブ・アイズ体制に入っていないからです。
飯田)そうなるとサイバー空間が端緒なのかもしれないけど、世界が以前のようにまた2つに分けられる?
須田)そういうことです。ですから注目なのはドイツやフランスなどEUの大国が中国との距離感をどう作るのか、というところだと思います。
飯田)その文脈で考えて行くと、では「なぜブレグジット、イギリスがEUから離脱するんだ?」みたいな話も符合して来ますね。
須田)加えて、フランスやドイツはなぜGoogleなどに対して税制の面で包囲網を構築しているのかというのも、良く見えて来るのではないでしょうか。
飯田)EUの一般データ保護規則がありますが、税制からデータのやり取りに至るまで、特に「アメリカに持って行くな」とEU全体でやっていますよね。
須田)ヨーロッパ大陸とアメリカ陣営の対立の構図があって、第三極として中国が出て来たと考えていいと思います。そのなかでどうも場合によって中国とヨーロッパが協力関係になるのかもしれない。そこが現時点での注目です。
飯田)昔に回帰しているような、大陸の国々と海洋国家が2つに分かれるようなことになって来るのですかね。
須田)その視点で見て頂くと、今後の展開もよく見えて来るのではないでしょうか。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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