憲法改正~公明党、立憲民主党それぞれの党事情
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月7日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。憲法改正に向けた課題について解説した。
憲法改正イヤーとなるか~各党の立場鮮明に
安倍総理大臣は昨日のテレビ番組で、憲法改正の論議について「各党が考え方を持ち寄るべきだ」と議論の進展に期待を示した。一方、公明党の山口代表は慎重な姿勢を表明し、立憲民主党の枝野代表は「憲法改正の是非を問う国民投票法の議論を優先させるべきだ」と訴えた。
総理は来年改正憲法の施行を目指すという方針について、「気持ちは全く変わらない」とする一方、「スケジュールありきではない」とも語っている。
飯田)今年は憲法改正が進むのか、というところですが。
須田)結論から言うと、相当難しいとは思います。どうしてかと言えば、憲法改正の国会での議論の進め方に問題があるからです。最初に衆参両院の憲法審査会で改正案の議決を経て、国会での発議ということになります。ただこの憲法審査会、審査会という名前はついているのですが、委員会です。この委員会での議論のスケジュールがなかなか具体化しないという状況になっていまして、これは委員長権限で進められるような話ではなくて、ここには国会議論の進め方の本質が含まれています。少数意見の尊重と多数決の原理です。このせめぎ合いなのです。
国会において少数意見の尊重がどういう形で保障されているのかと言うと、形の上では良く見えていないのですが、各委員会の日程を決めるには全会一致方式が取られています。したがって少数野党が反対すると、審議日程さえ組むことができません。例外としては、委員長権限で開くことはできるのですが、これをやるとあまりにも国会運営が強引ではないかということになってしまう。ですから野党としては絶対的に賛成できない法案であるとか、憲法改正案については日程を拒否することで抵抗することができるのです。
ただ、反対のための反対というものに意味があるのかと疑問に思います。開いてみてどうすべきなのかをきちんと議論した上で、この憲法改正をするかしないのか、するのだったらどの部分をするのか、という議論を深めて行くことが必要ではないかと思います。だから安倍総理は「各党が考え方を持ち寄るべきだ」と言ったのです。持ち寄って憲法審査会をきちんと開いて、議論を深めて行くのが王道ではないかと。私は安倍総理の言う通りだと思います。ただ、野党各党、特に立憲民主党においては様々な党内事情を抱えています。
例えば、立憲民主党のなかには立憲的改憲案を主張するグループもあります。
反対派の立憲民主党内部は意見が集約されていない
飯田)本を出された方もいましたね。
須田)山尾志桜里さんですね。そういう形で進めて行くべきだと考える人たちもいますが、憲法改正絶対的に反対だ、という人たちは、それは自民党の土俵に乗ることだから許せないと言っていて、党内議論もまとまっていません。加えて、こういった国会のスケジュールや日程の進め方については議会運営委員会(議運)で議論されるのですが、これだけでは議論が進んで行かないので、国会対策委員会(国対)で水面下での調整をするのです。国対はいま辻元清美さんです。辻元さんは言ってみれば自民党との間で是々非々で話を進めて行こうという方針なのですが、立憲民主党のなかには何が何でも反対という人たちがいて、辻元さんに対する批判が党内で上がっている状況にあります。立憲民主党自体の意見の集約が図れていないというのがいちばんの問題だと思います。
飯田)今回も立憲民主党の枝野代表は国民投票法の議論と、要するに無制限にCMが流せるとかそういったものはまずいんじゃないか、という議論を持ち出そうとしているのですが、それは憲法の本質には触らずに……。
須田)もう枝葉の話ですよね。それは実際に発議が見えて来た段階できちんとやれば良い話であって、最初の議論の土俵に乗れない言い訳としてそれを持ち出しているだけだと思います。
迷走する韓国との関係
飯田)この番組のなかでもう1つ出て来たのが韓国の徴用工問題で、総理は「毅然とした対応を取るため、具体的な措置の検討を関係省庁に指示した」ということです。ICJ(国際司法裁判所)に提訴するとかいろいろなことが言われていますが、レーダー照射も含めて韓国との関係がどんどん迷走して行っていますね。
須田)なぜ迷走するのかと言うと、ある意味での綱引きなのですよ。オープンな場所での議論であるとか、実態上の調査を進めるのではなくて、水面下で双方の顔が立つようにやろうじゃないかというものが韓国サイドの主張です。これは韓国の国内世論を配慮してのことなのでしょうが、それに乗っかると後で言った言わないの話になりますから。
飯田)毎回こうなりますね……。
須田)安倍政権が取ろうとしている手続きは、私は正しいと思いますよ。要するに透明性の確保です。きちんと見える環境のなかで議論して状況把握をして行きましょう、ということは正しい選択だと思います。
飯田)国際司法裁は、向こうも乗って来ないと手続きが始まらないというところですものね。ただ、出すことで国際的にもアピールにはなると。
須田)水面下で政治交渉をしないということがいちばん大事だと考えます。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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