新型出生前診断~国全体で議論すべき問題

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月4日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。新型出生前診断について解説した。

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新型出生前診断~検査できる施設の条件を大幅に緩和へ

妊婦の血液でダウン症など胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断について、日本産科婦人科学会は2日の理事会で検査できる医療機関を増やすため、施設の条件を大幅に緩和する方針を了承した。新型出生前診断には診断やカウンセリングの質の確保が重要な課題となる一方で、染色体異常の発見が中絶を促し、命の選別をもたらすという批判も根強くある。

飯田)従来だと大学病院などが中心、というのは産科医と小児科医が常駐していて、遺伝の専門外来を設けていることなど、厳しい条件が付いていたわけですよね。

須田)その一方で妊娠が分かると、こういった出生前診断をするのが一般的になって来ました。それが認可外でも行われていたということから、状況に対して制度をきちんと合わせて行こうということなのだろうと思います。しかし、中絶を促すことにもなりかねないので果たしてどうなのか、全面的に進めて行くべきなのかどうかは、きちんと議論する必要があると思います。

飯田)私も子どもを授かったときに、新型出生前診断も確かに選択肢にはあって、夫婦で相当話し合いました。結果として僕たちは受けなかったのですけれども、これは産科婦人科学会だけで決めていいのかという、倫理の問題だとか、哲学の問題にも入るのかもしれない。全体で議論をせずに、技術があるからやってしまうということで良いのかなと、疑問としてあるのですけれども。

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カウンセリングを受けられるような仕組みは作れないものか

須田)最終的な判断を下すにあたって、どちらの側で見るのかという問題もあります。子供の側から見るのか、親の側から見るのか。必ずしも親の側が、例えばダウン症の子供が生まれて来て負担が大きくなるからということだけで、中絶に踏み切っているわけではないのです。そういう状況のなかで子供が生まれて来て、幸せなのかどうなのか、そういう問題もやはり考えるのです。そこで中絶を選択される方もなかにはいらっしゃるのだろうと思う。ですから何を基準にそれを考え、どういう結論を出すのが正解かというものは無いのです、この問題は。非常に難しい問題です。それをご夫婦だけの判断に任せていいのかというところもあるのではないかなと思います。

飯田)欧米、カトリックの国ですと、宗教としての判断という、また別の価値観が入るのでそれが規範となっていたりする。一方で日本の場合は、そのよりどころがなかなか見つけづらい部分もあります。どう判断したらいいのか、確かに、突き付けられたときに僕たちも迷ったし、一体どう考えていいのか分からないのが正直なところでした。

須田)私もダウン症と診断されて、中絶されたご夫婦に話を聞いたことがあるのですけれど、妊娠が高齢化するとダウン症の発症率も高くなるわけです。そうすると、自分たちが死んだときに間違いなく子供は残されてしまう。残された子供は生きて行けるのか、幸せに生活を送れるのかというところが基準となったようです。

飯田)これはご夫婦の問題だから、当然夫婦で判断ということになるのでしょうけれど、いきなりお医者さんから「どうされます?」と突き付けられるようなところがあったりするので、カウンセリングを受けられるような仕組みは作れないものかなと、そのときに思いました。

須田)ご夫婦の間で意見が一致するケースも高くないようですし。

飯田)そこはまたお互い苦しむところですよね。

須田)この問題は答えがないだけに、飯田さんが言われたようにカウンセリングを含めて、どうケアして行くのかということが重要になると思います。出生前診断をやるのはいいけれども、それに対して、どうフォローアップして行くのか、その体制も必要だろうと思います。

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