おむつ替えや授乳もできる、“秘密基地”のようなカフェとは?
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番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】
きょうは、子どもを持つお母さんのために気軽に行けるカフェを作って、「集いの場所」を提供しているオーナーのグッとストーリーです。
住宅が建ち並ぶ、東京・杉並区。6年前、JR阿佐ヶ谷駅前にあるビルの3階に、ユニークなカフェがオープンしました。お店の名前は「おやこカフェ・ほっくる」。その名の通り、お母さんたちが赤ちゃんや小さい子どもを連れて、気軽にお茶やランチができるお店です。
おむつ替えや授乳もでき、地元で人気のパン屋さんによる「パン作り教室」や「親子ヨガ教室」など、さまざまな講座も行われ、長居しても構いません。地域のお母さんたちにとっては、ママ同士が集う憩いの場でもあります。
「『ほっくる』は『ホッとしたい人が来る場所』の略で、当時の店長が考えたんです。店長も主婦なんですが、北欧っぽくていいでしょ?」と語るのは、「ほっくる」のオーナー、小山訓久さん・41歳。シングルマザーの支援や、子どもの貧困解消に取り組むNPO法人・リトルワンズの代表でもあり、地元のお母さんたちの間では「オーナーさん」と呼ばれ、親しまれています。
アメリカの大学に留学中、DV被害者を支援するボランティアを経験した小山さん。帰国後、テレビ番組制作の仕事に携わり、貧困に苦しむ日本の母子家庭の問題を取り上げようとしましたが、プロデューサーに「いまの時代に貧困なんてあるの?」と言われ、番組はボツに。
「それから半年ほどしてようやく、母子家庭の子どもの貧困が社会問題になりましたが、当時はまだ番組として取り上げるには、ちょっと早かったんですね……」と言う小山さん。「番組を作るより、自分で支援活動を始めた方が早い」と考え、NPO法人を立ち上げました。
団体名の「リトルワンズ」は「子ども」という意味と、「みんなができる小さなことを集めれば、1つの大きな力になる」という意味も込められています。
さっそく小山さんが取り組んだのは、「シングルマザー同士の交流の場を作ること」でした。近所の公園や公民館などを借りて、SNSで参加者を募ったところ、毎回20組近い親子が参加。
「同じ境遇の人同士が集まって話していると、いろんな解決策が出て来るんですよ」と言う小山さん。そのほか、シングルマザーがなかなか部屋を借りられない問題を解決するため、「空き家問題」に悩む国や自治体と連携。空き家を安い家賃で母子家庭にあっせんする活動も始め、6年間で300世帯以上の住居を支援。この活動で、国連による「世界ハビタット賞」を受賞しました。
こういった支援活動を進めて行くうちに、小山さんは一般のお母さんたちのなかにも、家以外に自分の居場所がなく、独りで悩んでいる人が多いことに気付きます。そこで自分の地元・阿佐ヶ谷に、お母さん同士が気軽に集まれる「おやこカフェ・ほっくる」をオープン。
子どもといっしょに手作りのヘルシーな食事が楽しめて、様々な講座を受けることもでき、同じ悩みを分かち合える「ママ友」も作れる「ほっくる」。資格を持っているお母さんたちに、どうやって仕事につなげるかを教える講座もあり、そこでノウハウを学んで起業した人もたくさんいます。
小山さんは言います。「『ほっくる』では、お母さんは“お客さん”ではなく“主人公”なんです。お母さん同士が自由につながって、突然、新しい講座が始まったり……このカフェをきっかけに、地域で活動するお母さんが増えましたね」
「ほっくる」を利用するお母さんたちは、「ここは私たちの“秘密基地”ね」と言っているそうで、こういう場所が他の地域にも広がって行ってほしいと、小山さんは思っています。
「お母さんたちに地域の担い手になってもらいたいんです。子どももお母さんも元気なら、その街は活性化して、きっといい街になりますから」
「おやこカフェほっくる」
住所:東京都杉並区阿佐谷南3-37-10-301
TEL:03-5335-7285月〜金 カフェ営業 11:00〜16:00
土日祝 レンタルスペース営業
詳細はホームページをご覧ください。
http://www.suginamimama.com/
『親子カフェのつくりかた』(著:小山訓久)
規格:四六判・188頁
定価:本体2,000円+税http://book.gakugei-pub.co.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-2669-6.htm
八木亜希子 LOVE&MELODY
FM93AM1242ニッポン放送 土曜 8:00-10:50
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