42歳で農業の道へ~独自の工夫でイチゴ農園を営む男性のストーリー
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きょうは、脱サラして千葉県で観光イチゴ農園を開園。独自のサービスと接客を心掛け、地元に貢献する観光農園を目指している男性のグッとストーリーです。
千葉県山武市の成東地区。この地域には、観光イチゴ農園が19軒並ぶ「ストロベリーロード」として知られ、関東でも有名なイチゴ狩りスポットになっています。
4年前に勤め先を辞め、山武市に移って、新たにイチゴ農園を開園した男性がいます。浦野和洋さん・47歳。埼玉県所沢市出身で、山武市にはゆかりがなく、しかも農業は未経験だった浦野さん。なぜ知らない土地で、イチゴ農園を始めたのでしょうか?
「もともと私は、英語の先生になりたかったんです」と言う浦野さん。カナダにも留学しましたが、大学を卒業したとき英語教師の募集枠は少なく、大手ハンバーガーチェーンに就職しました。人と接することが大好きな浦野さん。店頭での仕事はとても楽しかったそうですが、英語力を活かした仕事もしてみようと本社の輸入管理部に移り、輸入関係の仕事に携わりました。
「でも、自分はオフィスワークに向いていないんだな、って気付いたんですよね」
もともと独立志向の強かった浦野さんは、30歳でハンバーガーチェーンを辞め、英文会計の資格を同時に取得。資格学校で英文会計の講師を始めました。
「英語も活かせるし、もともと先生になりたかったので、本当に毎日が楽しかったですね」
ところが……その資格学校の運営会社が倒産。突然、職を失った浦野さんでしたが、その後、日本公認会計士協会に就職。広報の仕事を担当していたとき、新聞に毎日目を通していたら、農業関係の記事で偶然こんな情報を目にしました。「新規に就農すると、無利子無担保で4千万円弱まで借りられて、補助金も出る」「年齢制限は40歳から45歳に延長」。
浦野さんは言います。「これだ! と思ったんです。当時私は42歳。独立するなら、いましかないと思って……」
浦野さんは仕事を辞め、千葉県立農業大学校に入学。脱サラした人向けの「就農準備コース」で農業の基本を学びました。ビジネス経験も豊富な浦野さん、観光イチゴ農園を始めることは、仕事を辞める際にすでに決めていたそうです。
「自分は接客の仕事がしたかったので、お客さんと直接触れ合える観光農園がいいなと。ブドウとかナシなどは育てるまでに4~5年かかるので、それならイチゴだなと考えたんです」
山武市を選んだのは、観光苺組合の態勢がしっかりしていて、かつ農家の人がみんな親切だったから。空いた農地を紹介してもらい、その近くに家も見つけ、ハウスを建てて、2015年12月に「なごみ苺苑(いちごえん)」を開業。
成東に19軒ある観光イチゴ農園のうちの最後発だったので、差別化を図ろうと、浦野さんはお客さんの視点に立って施設作りを考えて行きました。ハウス内にはテーブルとベンチを置き、お客さんがゆったり休めるようにしたほか、独自の工夫としてベビーカーを引いたファミリー客や車いすの人たちも動きやすいように、ハウス内の通路を幅1・2メートルほどと広めに設定しました。
また「紅ほっぺ」「かおりの」「おいしいベリー」「章姫(あきひめ)」など、様々なイチゴが1ヵ所で楽しめるように配置を工夫。イチゴを入れるカップで手がふさがらないよう、取っ手に指を差し込めるものにしたり、イチゴのヘタ取りもピンセット状にして手が汚れないと好評です。
開業して間もない頃はイチゴを腐らせてしまったり、台風でハウスが潰れたりしたこともありましたが周囲の助けも借りて建て直し、3年目まで続いた赤字も、きめ細かいサービスでリピーターも増えて4年目からは黒字に転換しました。浦野さんが常にハウスのなかにいて、農園主みずから接客するのも「なごみ苺園」の特徴です。それも、人と接するのが好きだから。
「お客さんの表情を見たり、意見を伺ったりして新しいサービスを考えたりしています。イチゴを食べて『おいしい』と喜んでくれる表情を見るのが何よりの喜びですね」
八木亜希子 LOVE&MELODY
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