府中に魅せられ、府中市役所で働くポーランド人女性のストーリー
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番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】
きょうは、日本に興味を持ってポーランドから来日。現在、府中市の職員として、海外に街の魅力を発信する仕事をしている女性のグッとストーリーです。
東京・多摩地域にある街・府中市。古代から武蔵国(むさしのくに)の中心として栄え、発展して来ましたが、開発が進む一方で自然も多く残っており「住みやすい街」としても有名です。
そんな府中に魅せられ、市内に引っ越し、ついには府中市の職員になったポーランド人女性がいます。
府中市役所・経済観光課の「外国人観光客おもてなし職員」、アニカ・ゴデックさん・31歳。
「ワタシ、日本も、日本語も、日本の文化も大好きなんです!」と言うアニカさんが日本を好きになったきっかけは、本当に偶然でした。中学生の頃、当時憧れていた先輩が韓国語を勉強しているのを知り、「私も何かアジアの言葉を勉強しよう」と思い立ったアニカさん。たまたまインターネットで「中国語・韓国語・日本語」の無料レッスンが受けられるサイトを知り、3つのなかから直感で「エイッ!」とクリックしたのが、「日本語」だったんです。
「先輩と同じ韓国語にしなかった理由ですか?……何か、ひらめいたんです。もしあのとき違うところをクリックしていたら、ワタシはいま、ここにいないと思います(笑)」
「サムライ・ゲイシャ・スシ」など、日本に対する知識がちょっとだけあったのも、日本語レッスンを選んだ理由でした。最初の頃は初めて見る「漢字」に戸惑ったりしましたが、ポーランドの大学で英語教育と日本語を学んだアニカさんは、7年前、ついに念願の来日を果たします。このときは神戸の幼稚園で英語を教えたり、ボランティアとして北海道・富良野をはじめ、全国の農家を手伝ったりして日本語を磨いて行きました。
「でも日本には1年ほどしかいられなかった。ポーランドに帰って、せっかく覚えた日本語をすっかり忘れてしまいました」と言うアニカさん。その後、ポーランドの旅行会社で働きましたが、どうしても日本への思いが断ちきれず、周囲の反対を振り切って、おととし10月、再び日本へ。
小・中学校の外国語指導助手として来日しましたが、その派遣先が府中市にある3つの学校でした。はじめは浅草に住んでいたアニカさんですが、府中に通っているうちに、だんだん街の魅力にひかれ、ここで暮らそうと決意。偶然、市内のシェアハウスに空きが出てすぐに引っ越しを決めました。
「府中の人たちは『アニカ、どこに行くの?』『困ったことはない?』とよく声を掛けてくれます。街の人たちがみんな親切で、地域のお祭りも多いんです」と言うアニカさん。
府中では、大國霊魂(おおくにたま)神社で毎年5月に行われる「くらやみ祭」が有名ですが、その他にも地域のお祭りやイベントが行われているのです。
「都会と田舎の両方の側面を持っている……そんなところが、すごくいいです」
英語の先生として働いていたアニカさんですが、去年の年明け、派遣先の会社から「他の地域の学校へ移ってくれないか?」と打診を受けました。「どうしても府中を離れたくない」という思いから、新しい仕事を見つけることにしたアニカさん。何と、市役所の受付に駆け込みました。
「ワタシは府中で働きたいんです! 何か、ワタシにできる仕事はありませんか?」
思いあまっての直談判でしたが、受付の職員が対応してくれそうな部署を探して案内してくれました。それが、いまアニカさんが働いている経済観光課だったのです。これもまったくの偶然ですが、東京2020オリンピックの会場にもなっている府中市は、府中の魅力を外国人向けに英語で情報発信できる職員を募集していたのです。
さっそく応募したアニカさんは、面接を受け正式採用。去年の4月から、府中市の嘱託職員として週4日、働いています。自分で取材した市内の観光名所の英語記事や、イベントの写真・動画をインスタグラムなどのSNSに投稿。アニカさんが担当になってからフォロワー数もグンと伸びています。
「日本に来て、最初はさびしかった。でも府中に来て、たくさんの“家族”ができました。『日本人は温かいんだよ』ということを、これからも外国の人たちに伝えて行きたいです」
八木亜希子 LOVE&MELODY
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