エッセイスト・タレントのトコさんが主婦から一念発起した理由とは?
公開: 更新:
番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】
きょうは、普通の主婦が一念発起。エッセイ集を出し、いまはローカルタレントとして活躍している女性のグッとストーリーです。
カラフルな赤いメガネをかけ、福岡のラジオ・TV番組にレギュラー出演。歯に衣着せぬ辛口トークで、ローカルタレントとして大活躍している女性がいます。トコさん・59歳。
男性上位の気風がある福岡で、舌鋒鋭く女性の立場から堂々とものを言うトコさんは、特に女性の間で絶大な人気を誇っています。そんなトコさんですが、実は「おひとり様」。表に出るようになってから、16年間の夫婦生活を“卒業”し離婚。2人の子供も自立し、いまはずっと独りでの生活を続けています。
「私、東京の大学を卒業してすぐ、親に言われるままお見合いで結婚して、福岡に戻って来たんです。当時は何の疑問も持ってなかったし、そういうもんだと思ってました」
トコさんが大学を卒業した80年代初頭は、まだ女性の社会進出がいまのように進んでいなかった時代。東京で就職することは、まったく考えなかったそうです。
家事と育児に追われ、つねに家庭優先。やりたいことは我慢し、本来の自分を押し殺す日々が続きました。2人の子供が学校に上がったとき、ようやく自分の時間が持てるようになりましたが、トコさんは30代になっていました。
「そのとき、ふと思ったんです。このままだと『私の人生って何だったの?』って、死ぬときに絶対後悔すると」
「何とか、社会のなかで認められたい」という思いが募り、トコさんはPTAの会長に立候補。編集を担当した「学校だより」に書いた文章を、国語の先生が「面白いですね」と褒めてくれました。
「自分が何気なく書いた文章が、印刷されて活字になって、しかも褒められるなんて、本当に感動したんです! 私にもこんな才能があったんだって、初めて気付きました」
トコさんは「エッセイを書こう!」と決意。近所の図書館に行って、人気エッセイストの本を片っ端から借りていき、書き方を研究しました。図書館のエッセイ本はほぼ読み尽くし「私にも書ける!」という自信が芽生えたトコさんは、へそくりでワープロを購入し、身の回りで起こったことをつづった1ページのミニコミ紙を、月2回発行。〆切は必ず守ると心に決め、休まず定期発行を続けました。
最初の読者は知り合い10人ほどでしたが、だんだん「私にも送って!」という人が増え、3年後、送り先は100人を超えていました。それをコピーして回してくれる人も現れ、実際の読者はその何倍にも拡大。原稿が溜まったところで、トコさんは「よし、これを本にしよう!」と地元の出版社へ売り込みを始めました。
「何もコネがなかったので、まず電話帳の最初に載っている出版社に企画書を送ったんです」……その出版社は普段、堅めの本を出しているところでしたが、運がいいことに、最初に企画書の封を開けたのは若い女性社員でした。
その社員が「このエッセイ、面白いですよ!」と上にプッシュしてくれたおかげで企画が通り、ついに自分の本を出したトコさん。すると、ミニコミ紙の読者が全員買ってくれたばかりか、周りに宣伝してくれて、初めての本はたちまちベストセラーになりました。
これがきっかけになって、エッセイストとしてデビューしたトコさんは、地元の放送局からも、コメンテーターやパーソナリティとしてお呼びが掛かるようになり、すっかり地元の人気者に。
2010年、トコさんは一般社団法人「ピュアウーマン」を設立。すべての女性が自分の新しい可能性を見つけ、充実した自由な人生を送れるように、様々なイベントやセミナーを開催しています。
去年のクリスマスには、毎年恒例の「おひとり様パーティー クリスマスですが、何か?」を開催。シングルの女性たちが思いを語り合い、交流を深めました。そういうふれ合いの場を作り、人と人とをつなげることも、トコさんのライフワークの1つです。トコさんは言います。
「私は来年、還暦を迎えますけど、独りでも全然寂しくありません。だって私の周りには、一緒にいてくれる『おひとり様』が、たくさんいますから」
最新刊『おひとりサマンサ ふわーっと楽しく生きてます』
(西日本新聞社刊)
八木亜希子 LOVE&MELODY
FM93AM1242ニッポン放送 土曜 8:00-10:50
番組情報
あなたのリクエスト曲にお応えする2時間20分の生放送!
今、聴きたい曲を書いて送ってくださいね。