外交青書から「北方四島帰属」を削除する理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月24日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。平成31年度版外交青書について解説した。
外務省が今年の外交青書を閣議で報告
外務省は4月23日、外交や国際情勢についてまとめた平成31年版の外交青書を閣議で報告した。今年(2019年)の外交青書では「北朝鮮に対する圧力を最大限にまで高めて行く」、「北方四島は日本に帰属する」との表現を削除、また韓国との関係については「未来志向」という文言を削除している。
飯田)日本の外交や国際情勢についてまとめた外交青書ですけれども、文言の削除が話題となっております。
高橋)普段はほとんど同じ表現が使われるのですが、東アジアが最近動いているからですね。
北朝鮮とは関係が悪かったのが、危険な状況が無くなって来た。一方、韓国との関係はかなり悪化したということが率直に書かれています。ロシアとの話で「北方四島帰属」と書いてしまうと交渉にならないですからね。交渉するために軌道修正するということでしょう。現実的だと思います。
「北方四島帰属」の記述も削除
飯田)少し前だったら、北方四島の帰属に関する表現を削除するなどと言ったら大変ですよね。
高橋)あり得ないですね。これは要するに、終戦はいつかという話に帰着するのですよ。日本人は終戦が8月15日と信じて疑わないですが、それを海外で言ったら絶対に違うと言われます。国際的に終戦は9月2日だと言われています。
飯田)「何の根拠があって8月15日なのだ」と言われるそうですね。
高橋)「日本だけがそう思っているのだろう」と言われておしまいです。それを議論すると、私たちが習って来た8月15日以降、ソ連が来て取ってしまったというロジックは国際的には認められません。そういう現実を踏まえないと、日露の交渉すらできない状況だと思います。外務省は大変です。法的な立場は変わらないと言っているのですが、少しずつ軌道修正しているのでしょう。
飯田)どういままでと整合性を取るのか。
高橋)いままでそう言って来たけれども、国際的な情勢、常識を踏まえないとそもそも先に交渉すらできない状態ですから。
飯田)日露交渉も最近は話題にならなくなりました。5月には河野外務大臣が行って交渉するそうですけれども。
高橋)そう簡単にはいかないですよ。G20で上手い結論が出ると言う人がいますけれども、それはまず無理ですよね。40年以上動いていないのですから、すぐには動かないですよ。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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