天安門事件から30年~経済以外は何も変わらなかった中国
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月5日放送)に国際政治学者の高橋和夫が出演。天安門事件から30年経った中国について解説した。
天安門事件から30年~中国国内での報道は一切なし
2019年6月4日、中国で起きた天安門事件から30年を迎えた。中国ではいまも事件について公に語ることは難しく、4日の北京は厳戒体制。国営メディアでは一切報道されず、ネットにも特別な規制がかけられた。中国は軍による民主化運動の鎮圧は正しい方針だったとしている。
飯田)学生労働者が民主化を求めて、100万人を超える人が天安門広場に集まった。そこに戦車隊が入って来たという事件ですが、30年経ちました。
高橋)中国の人民解放軍は、人民のためでも解放のためでもない軍隊でしたね。
飯田)高橋さんは当時、もう学者として働いていたのですか?
高橋)この日、イランでは最高指導者のホメイニさんが亡くなった日で、私はその報道で忙しかったです。国際政治は同時多発ですね。そしていま、イランと中国がアメリカと対立して接近している。不思議な巡り合わせでもありますね。
飯田)当時の1989年という年は、東欧革命もあり、この天安門事件もあった。世界が激動で動いて行く時代の真っ盛りという感じでしたよね。
30年後の中国~パンダのような優しい国にならず、龍のような国になってしまった
高橋)中国が国際的に孤立していたのですが、日本はそれでも付き合おうという感じでした。中国が国際社会に戻って来る突破口として日本を使い、日本は中国を助ける。中国が豊かになれば親日的になるだろうし、普通の国になるだろうと期待していたのですが、どうもそうではなかった。
国際社会はパンダのような優しい国になると思っていましたが、豊かになっただけで、龍のような国になってしまった。この30年間、中国に抱いた期待は経済成長だけ成功して、政治の民主化、人権の確保はまったく動きませんでした。みんな苦い思いを抱いているのではないかと思います。
飯田)去年(2018年)、10月にアメリカのペンス副大統領が言いましたけれど、うすうす気づいてはいましたが、舵を切りつつあると。
これからの30年を国際社会は中国とどう向き合うのか
高橋)そうですね。この30年に合わせて、ポンペオ国務長官も「この30年間、中国はよくならなかった」と言っていますし、人権問題も指摘しています。そういう意味ではアメリカは歯に衣着せず、言いたいことを言うようになって来ましたね。
飯田)それに対して中国は「偏見と驕りから来る声明を発表して中国の体制を傷つけ、内政に関して中傷した」と反論しています。かつての共産圏や北朝鮮のような響きをもった表現ですが、激烈ですね。
高橋)いずれも共産圏であるということですね。核心は変わっていないのです。中国とこれからどうやって向き合って行くのか、日本やアメリカ、国際社会にとって次の30年はどうなるのか。大変な時期に差しかかっているのかもしれないですね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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