ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月5日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。あいちトリエンナーレで元従軍慰安婦を象徴とした「平和の少女像」などの展示が中止になったことについて解説した。
あいちトリエンナーレ2019
2010年から3年ごとに、国内外から90組以上のアーティストを迎えて映像プログラムや音楽プログラム、絵画、彫刻、写真、舞台芸術など、さまざまな表現を集めた国際現代美術展「あいちトリエンナーレ」。展覧会の一企画、「表現の不自由展・その後」に展示された元慰安婦を象徴する「平和の少女像」に抗議が殺到した事態を受け、実行委員会はこの企画を中止すると発表した。
飯田)トリエンナーレ全体の中止ではなく、この一企画のみとりやめということです。2015年に東京で開かれた「表現の不自由展」という展覧会が原型ですので、「その後」というタイトルがついていました。抗議が殺到して安全が確保できないのではないかということを愛知県知事も言っていて、中止となったようです。
須田)スタート前からこの問題は議論を呼んでいて、直後からSNS上ではいろいろと物議を醸す、あるいは抗議が殺到するという状況になっていました。展示する内容についてはいろいろと気持ちはありますが、この企画自体は意義があったのだろうなと思います。今日において、表現の自由が全うできないという状況のなかで、過去にどういうものが公的な博物館、美術館から撤去されたのか、それを一堂に会するということは意味があったのだと思います。
津田大介氏の芸術監督選出になんらかの政治的な意図があったのではないか
須田)ただ1点、言わせていただきたいのは、芸術監督に選ばれたという津田大介さん。この方は言うまでもなく、明らかに左派の立場に立つ方です。ですから、こういった展示物が出て来るであろうということは、あらかじめ予見できたはずです。ではなぜこの方を選んだのか。もちろん、中止に至るにあたって政治的な圧力や介入があったということも言われています。政治的な圧力で作品の展示を中止に至る、ということはよくないことです。しかし前段として、そういう芸術監督が選ばれるにあたって、何らかの政治的な意図があったのではないかということも窺えるのです。まだこういう点は指摘されていませんが、芸術監督に津田さんを選んだ経緯や背景の検証が、これから必要なのではないでしょうか。もちろん、津田さんに責任はないですよ。自分の考えを全うできたわけですから。
炎上させることは狙いだったはず~なぜ津田氏に任せたのかという検証も必要
飯田)表現の自由というものについて、公権力が圧力をかけて来るようなことは絶対にあってはならないことだし、そこは大事なことですが、一方で、こういう展示をやったら批判が来ることはわかるではないですか。むしろ物議を醸して炎上することで、みんながこのことを議論できる。「表現の自由とは何なのだ」ということを議論することを狙ったはずで、そこは狙い通りに炎上したわけですよね。それを抗議が来たからやめますというのは、ふろしきをたたむのが少し早すぎないかとも思います。
須田)狙い以上になってしまったのでしょうね。物議を醸すことを大前提として、それが「表現の不自由展」の本来の意図であったと思います。それをきっかけにいろいろと議論を進めて行きたい、その狙いもよくわかるのだけれども、展示内容が一方に偏り過ぎていたし、なぜ一方に偏ったものになってしまったのかと言うと、そこは責任者の意図があったのだろうなと思います。芸術監督を選んだということが、はたして適切だったのか。その人物に任せることが適切だったのかというところも、併せて検証して行く必要があると思います。中止になったからこれですべて終わり、決着というわけではないと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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