日産西川社長退任~ゴーン事件での検察の捜査は公正だったのか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月9日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。日産の西川社長退任について解説した。

日産西川社長退任~ゴーン事件での検察の捜査は公正だったのか

【日産、西川社長の不当報酬】自宅前で報道陣の囲み取材に応じる日産自動車の西川広人社長=2019年9月9日午前、東京都 写真提供:産経新聞社

日産・西川広人社長退任へ~ゴーン被告同様に不適切な形で恩恵を受けていた

日産自動車の西川広人社長兼最高経営責任者が、退任する意向を一部の幹部に伝えたことがわかった(*注:9日夜、16日付で辞任することを正式に発表)。元会長のカルロス・ゴーン被告による一連の問題に対する内部調査に目処がついたのに加え、最近の業績不振や自身の役員報酬をめぐる疑惑で責任を問う声が強まっており、これ以上の続投は難しいと判断した。

飯田)後任のトップ選びは、フランス・ルノーのスナール会長らが加わる指名委員会で、7月から候補者の絞り込みが既に始まっているということです(注:後任は指名委員会が10月末をめどに選ぶ予定で、それまでは山内康裕最高執行責任者(COO)が暫定的にCEOを代行することを9日夜に発表)。

須田)西川社長に関して言うと、一連のゴーン事件に決して無関係ではない、少なくとも被害者の立場ではないでしょう。ゴーン被告が不適切な形で報酬を得るにあたって、全面的に協力関係にあった。むしろ本人がゴーン被告と同様に、不適切な形で恩恵を受けていたということが事前にわかっていたから、そういう指摘をして来ましたが、それがようやく明らかになったのだと思います。

日産西川社長退任~ゴーン事件での検察の捜査は公正だったのか

【日産自動車2018年度第3四半期決算発表】会見する日産自動車の西川広人社長=2019年2月12日午後、横浜市西区の日産自動車グローバル本社 写真提供:産経新聞社

定められた期日よりも1週間後倒しで数千万円多く報酬を入手

須田)問題視されているのは、ストック・アプリシエーション・ライトという、株価に連動する形で報酬高が決まるものです。とは言っても、事前に会社側と役員側は、いつの時点で期日を設けるのかを決めるのです。ところが、その時点で株価があまり高くなかったものだから、1週間後倒しにしたのですよ。その間に株価が上がって、結果的に西川社長は本来受け取る金額よりも、数千万円多い報酬を受け取ることになったということです。本来は、社内規定でやってはいけないことです。

飯田)上がるまで待つなんて、ズルですものね。

須田)社内規定違反どころか、場合によっては会社法違反、特別背任ですよ。会社に損害を与えたわけですから。

飯田)会社はそれだけ多くの報酬を支払わなければならなくなり、経費が多くなるということですね。

日産西川社長退任~ゴーン事件での検察の捜査は公正だったのか

【ゴーン被告保釈】弁護士事務所を出るカルロス・ゴーン被告=2019年3月6日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

司法取引によって西川社長は刑事責任が問われなかった

須田)損害が発生したということになりますから、そのような疑いも出て来ます。そして、それは最近になって明らかになったということではなく、かなり前、東京地検特捜部が捜査をしているときから、そのような形跡があるのはわかっていたはずです。なぜゴーン被告やケリー被告については刑事責任が問われ、西川社長についてはまったく不問に付されたのかと言うと、裁判員制度の導入と共に実行された司法改革の一環として、司法取引という制度があります。どちらかと言えば、暴力団関係者などの組織犯罪を摘発するために導入されたのですが、こういった重要な経済・財政事犯に関しても、この司法取引が適用された。しかし東京地検特捜部が勝手にやるわけにはいかないですから、正当な手続きを踏んで、司法取引も明確になっています。

飯田)要件も決まっているということですね。

日産西川社長退任~ゴーン事件での検察の捜査は公正だったのか

【日産、ルノー、三菱自が共同記者会見】記念撮影に臨む(左から)ルノーのボロレCEO、スナール会長、日産の西川広人社長、三菱自動車の益子修会長=2019年3月12日午後、横浜市西区 写真提供:産経新聞社

検察の裁量で司法取引が行われた可能性

須田)いままでに司法取引が実行されたとする幹部が、日産社内には2人いるのです。そのなかにはもちろん西川社長は入っていません。

飯田)入っていないのですね。

須田)つまり検察側が裁量的に、自らの匙加減で決めてしまったのではないか。本来そういうことがあってはならないのですよ。その点がいちばん懸念されていた部分です。

飯田)検察の恣意的なもので司法取引が行われてしまったら、仕組みとしておかしいだろうと。

須田)そもそも、裁判自体の公平・公正の原則に大きく抵触するだろうということです。それが明らかになってしまったから、西川社長の退任は当然です。これによって、予定されていた社債発行は全部吹っ飛んでしまいました。問題なのは、ゴーン事件の公判維持ですよ。つまり、東京地検特捜部の捜査が果たして公平・公正なものだったのかどうか。しかもゴーン被告の主任弁護士は、無罪請負人の弘中さんです。してやったりではないかなと。これで裁判は波乱の状態になるのではないかと思います。

飯田)先ほど須田さんは、会社法の特別背任かもという指摘をされました。それこそ検察は問わないのかという話だし、だとすると告発する人が出て来てもおかしくないですよね。

須田)もちろんです。だから、市民団体と称して刑事告発をする。検察としては不受理にするのか、受理した上で不起訴とするのか、2つに1つでしょう。不起訴となった場合には検察審査会に持ち込んで、検察審査会がどういう判断を下すのかを見て行かなければならないと思います。

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