NATO~議論の見通しのつかないさまざまな理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月4日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。難しい状況になって来ているNATOについて解説した。
NATO首脳会議がロンドンで開幕
北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が3日、ロンドンで2日間の日程で開幕した。中国やロシアの脅威を念頭に29ヵ国の首脳が安全保障などの課題について話し合い、今後の結束が確認できるかが焦点となる。
飯田)トランプ大統領は「中国は脅威だ」と演説しましたが。
佐々木)いままでは経済的に依存していましたが、西ヨーロッパは中国を気にしていませんでした。例えばドイツは、自動車の主たる輸出先は中国ですから、経済のために中国と仲よくしようとして来ました。内政の問題はあるかもしれないけれど、遠い国だからあまり関係ないと思っていた。
中国に脅威を感じ始めたヨーロッパ
佐々木)ところが、ここに来て状況が変わった。1つはウイグル、香港問題です。あまりにも非民主的で人権無視が甚だしいので、リベラリズムの本拠地のヨーロッパがないがしろにしていいのかという議論が起こっています。もう1つ、最近の中国はソロモン諸島に進出したり、ギリシャに港をつくったりと、ヨーロッパのあちこちに橋頭堡を築きつつあります。それに対してヨーロッパは、地政学的な中国の脅威を感じ始めているのです。ここで中国と政治的に向き合うべきだという機運が起こっている。
NATOから撤退したいアメリカ~かじ取りが難しくなっている
佐々木)一方で、アメリカはNATOに対して腰が引けて来て、撤退したいという感じになっています。フランスのマクロン大統領は「NATOはだめだから欧州軍を独自につくる」と言い出しています。NATOはアメリカと西ヨーロッパです。アメリカがいなくなるのだったら、アメリカぬきのヨーロッパ軍をつくりましょうという話ですが、それにはお金もかかります。加えて核はどうするのか、ロシアとどう向き合うのかと、ドイツのメルケル首相などが反対していて、議論の見通しがつきません。
飯田)ドイツの方がロシアに近いだけに、その辺の脅威をひしひしと感じるところがある。
佐々木)中距離核戦力全廃条約が成り立たなくなっている状況のなかで、ますますロシアや中国の中距離核に対抗しなければならないこともあって、NATOのかじ取りが難しい状況になって来ています。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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