瀬戸内寂聴 雪の日の嵯峨野ほど心に沁みる風景はない
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【瀬戸内寂聴「今日を生きるための言葉」】第1272回
私の住む京都・嵯峨野は、いつ訪れるのが一番いいかと訊かれます。小雨の日の嵐山の土佐絵のように煙った風景はまたと見られない景色だと思いますが、やはり、雪の日の嵯峨野ほど心に沁みる風景はありません。
瀬戸内寂聴
撮影:斉藤ユーリ
《瀬戸内寂聴 新刊情報》
〈最新刊〉
寂庵コレクションVol.1
『くすりになることば』 瀬戸内寂聴
光文社刊 定価:1,400円(税別)31年間続いた瀬戸内寂聴さんの月刊新聞「寂庵だより」から纏めたシリーズ「寂庵コレクション」の第1弾。ここでは、仏教をはじめとした古今東西の文献を瀬戸内流に翻訳した「今月のことば」を収録。“欲望・生きる・苦しみ悲しみ・しあわせ・悟り”の5つの項目に分け、分かりやすく構成しています。
例えば、「過去を追うな。未来を願うな。今日一日を精一杯生きろ」とは、インド・原始経典『中部経典』からの一説。
その他、2002年の1年間の日記を掲載。当時80歳とは思えない寂聴さんのエネルギッシュな日々を伺うことができます。2002年と言えば、田中真紀子氏が更迭され、小泉首相が北朝鮮へ行き、「日朝平壌宣言」が調印された年です。
また、巻頭には、この秋に行われた瀬戸内寂聴さんと藤子不二雄Ⓐさんによる特別対談、「幸せな死に方」が掲載されています。
『寂聴 九十七歳の遺言』 瀬戸内寂聴
朝日新書 朝日新聞出版刊 定価:750円(税別)愛する人との別れ、誰も手を差し伸べられない孤独、突然襲ってくる理不尽な不幸、そして老いと死。
九十七歳の今だからこそ、答えを残しておきたい。
生きる幸せ、死ぬ喜び—かけがえのないあなたへ瀬戸内寂聴が贈る心からの「遺言」。
「死んだら死にっきり、一度くらい死んでみないと損」。
人生の最終章をどう納得して生き切るか。
だれにとっても切実なテーマに、作家人生のすべてをつぎこんで真摯に答えた一冊。
『寂聴先生、ありがとう。』 瀬尾まなほ
朝日新聞出版刊 定価:1,100円(税別)秘書の私が先生のそばで学んだこと、感じたこと
事務職を希望していた筆者は、ひょんなきっかけから瀬戸内寂聴の秘書に。
秘書としてともに過ごして8年、さまざまなことを学び、世界も広がった。
そして、さらなる人生に転機も—。
「先生は私の道しるべです」と語る筆者が、寂聴先生と過ごした8年間のこと。
初著書『おちゃめに100歳! 寂聴さん』を出版してからの変化や不安、そして自分の恋愛観までをありのままに描く最新エッセイ。