金銭面だけではない~イギリス離脱によるEUへの影響
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月21日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。EUが臨時の首脳会議を開催したニュースについて解説した。
EUが臨時の首脳会議を開催、イギリス離脱の穴埋めが焦点か
EU(ヨーロッパ連合)は20日、イギリスの離脱後初めてとなる2021年~2027年までの7年間の中期予算の策定をめぐり、ブリュッセルで臨時首脳会議を開いた。ドイツに次ぐ2番目の拠出国だったイギリスの離脱で生じる750億ユーロ、日本円でおよそ9兆円規模の穴を埋めつつ、気候変動など重要課題への予算をどう確保するかが焦点と見られている。
飯田)イギリスの離脱は、お金の面でも大きな穴ですよね。
NATO70周年の式典で罵り合っていたメルケル氏とマクロン氏
宮家)お金の穴を埋めるのは当然なのだけれども、この問題は「会議は躍る」という感じがしてなりません。もっと大きなピクチャーで考えるとEU、それからNATO。この二つの組織の問題が大きく動き始めているのではないかと心配しています。この間、ミュンヘンで毎年開かれている安全保障会議がありました。トランプ政権になってから、アメリカと欧州の間の亀裂がかなり深刻です。いまも両者は罵り合っていますからね。アメリカと欧州は大きな問題を抱えている。また欧州のなかでも、大陸欧州とイギリスのような海洋国家のような欧州があり、更に、大陸欧州のなかでもフランスとドイツの関係はは決してよくはありません。去年(2019年)にNATOの70周年の式典がロンドンであって、レセプションがありました。そこでフランスのマクロンさんと、ドイツのメルケルさんが罵り合っているのが聞こえてしまったらしく、ニューヨーク・タイムズに載っているのだけれど、メルケルさんが「あなたが壊したコーヒーカップを、私が1個1個のりで直しているのよ。いいかげんにして」と言っているのだそうです。
フランスとドイツの間を上手く取り持っていたのはイギリスだった
宮家)イギリスが抜けても、フランスとドイツがしっかりしていればEUは何とかなると思っていたのだけれど、今やフランスとドイツはそういう状況になっている。あの隣同士の二つの国家は、常に仲がいいわけではないのです。ある欧州の専門家は、イギリスはフランスとドイツの間を上手く取り持ってEUをまとめて来たから、イギリスが抜けることのインパクトは決して小さくないのだとおっしゃっていました。イギリスが抜けたら、フランスとドイツが本当に一緒にやれるのかというところが心配です。
飯田)マクロンさんが欧州軍をつくろうとか、俺たちの核の傘でということを言うと、ドイツがいちいちイライラするのですね。
宮家)マクロンさんも、できもしないことを言うのですよね。ロシアと仲よくしてみたり。
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