ニッポン放送「ザ・フォーカス」(3月18日放送)に産経新聞客員論説委員・国際医療福祉大学の山本秀也が出演。トランプ大統領の「ウイルスは中国から来た」との主張について解説した。
トランプ大統領「ウイルスは中国から来た」
トランプ大統領が17日にツイッターで「中国のウイルス」と表記したことに中国が強く反発している問題で、トランプ大統領はさらに記者会見で「ウイルスは中国から来たのだから、まったく正しい呼び方だ」と付け加えて、正当性を主張した。
森田耕次解説委員)アメリカと中国の激しい言い合いになっているのですが。
山本)次元が低いですね。
森田)最初は中国外務省の超立堅(ちょうりつけん)副報道局長が12日に、ツイッターで「アメリカ軍が感染症を湖北省武漢市に持ち込んだのかもしれない」と書き込みまして、トランプ大統領が16日に航空業界の支援などを訴えるツイッターのなかで新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と表現しました。これに対して中国外務省の耿爽(こう・そう)副報道局長が「ウイルスと中国を結び付けて、中国に汚名を着せている。強烈な憤りと断固とした反対を表明する」と述べ、そしたらトランプ大統領が17日に「ウイルスは中国から来たのだから、まったく正しい呼称だろう」とホワイトハウスの記者会見で言っています。「中国が『ウイルスはアメリカ軍が持ち込んだ』と偽情報を流すから、『来た場所の名前で呼ぶべきだ』と言ったのだ。だから中国ウイルスだ」と正当性を主張しました。
山本)私は、最初に「米軍が武漢に持ち込んだ」と書いた中国外務省の報道官が悪いと思います。中国政府の方から「とにかく中国を悪者にされないような対外宣伝をやれ」というオーダーが出ていますからね。その対策チームのトップに、みんながあっと驚く踊りっぷりを見せる王毅という外務大臣も入っていますから、その流れでいらないことを言ったのが始まりです。トランプさんの言いぶりもいつも通りです。ただ、「中国から広まったウイルス」という見方は日本を含めてあちこちでされていますし、これは事実です。それから台湾ではむしろ「武漢肺炎」と言われていまして、それについては今更中国が噛み付いたりはしていません。ですから、これは言わずもがなの件で、対策のために協力した方がいいと思うのですけれどね。協調に立ち戻るのが本当は正しいのですが、アメリカの株の下がり方を見ると、トランプ大統領も心中穏やかではないのでしょう。
米中、お互いにメディアの活動を規制
森田)中国の外務省がアメリカのニューヨーク・タイムズなど、中国で活動しているアメリカの5つのメディアに対し、記者やすべての職員の情報、各メディアの保有資産、運営状況について書面で届け出るよう求めるという声明を出しました。有力新聞のアメリカ人記者を排除する強行策も打ち出しています。これより前に、アメリカが中国政府の外国メディアへの監視や活動妨害を問題視しまして、2月に新華社など5つの報道機関を中国共産党の宣伝機関に認定しました。3月にはアメリカ国内で働くそれらの会社の職員数に100人という上限を設ける措置を取ったようですね。
山本)先に取ったのですが、アメリカはいままで言っていたことをきちんと言い直しただけなので、中国の公式メディアが党のプロパガンダ機関だというのは彼ら自身が言っていることですから、別に嘘を言ったわけでも歪めたわけでもありません。それからワシントンにある新華社の支局というのは、表に看板が出ている支局にはろくに人がいなくて、本当の支局機能があるのはポトマック川を越えたバージニアにビルを1棟持っていて、そこに宿舎とオフィス込みになっているのです。
森田)そういった隠れオフィスもあって、アメリカも当然わかっていて、宣伝機関だし職員数の上限を設けろと言っていたわけですね。
山本)とにかくアメリカだと、外国政府のための代弁人として情報を集めたり発信したりする人間は登録しなければいけないのです。ただ、中国もやられたのでやり返しているのです。ただ、中国の報道規制は私も新聞記者時代に被害に遭っていまして、これはとんでもないことです。ここは徹底してやって欲しいですね。
中国の新規感染者の減少は本当なのか~数字はまず疑うべき理由
森田)報道規制が中国ではどうなっているのか。いまのところ新型コロナウイルスの死亡者は17日に11人増えて、合わせて3237人。感染者が13人増えて8万894人という数字を公表しています。
山本)私は、地方から上げている数字はまったく信用していません。とにかく地方のリーダーとしてはいまを抑えろという方向で、面倒事を起こしたくない姿勢ですから。とにかく中国から出てくる数字は、基本的に疑うことから始めています。
森田)18日の産経新聞によると、湖北省は「移動解禁の動き」と出ています。
山本)これもどうなるでしょうね。もちろん経済の立て直しに目が向いているのは間違いないのですが、それと流行が早く始まったので、抜けるのも多少早めということがあるのでしょうが、いずれにしてもイタリアに多少医療チームを送ったくらいでは収まりがつきませんよ。
かかりやすい血液型、科学的根拠は
森田)中国では新型コロナウイルス感染症にかかりやすい血液型の調査もあるのですね。
山本)台湾の報道を見ていたら大真面目に伝えていまして、中国の8つの大学が調べたということで、嘘か本当かわかりませんが、A型とO型どっちがかかりやすいという判断になったと思いますか?
森田)かかりやすそうなのはA型じゃないでしょうか。
山本)そうなのです。3つの大きな病院に収容された患者さんの血液型の比率を比べてみると、A型では5ポイントほど血液型の分布比率よりも罹患率が高かったのです。逆にO型では8ポイント低かったというのがこの調査でわかったことです。
森田)私はO型だから、かかりにくいかもしれません。
山本)これを信じるなら、ですよ。ちなみに私はAB型ですが、これには差がなかったようです。相関性があるのか眉に唾を付けながら読んだのですが、この報道によるとSARSのときにも同じ調査をやったそうです。
森田)血液型に科学的根拠があるのかどうか。ほとんど聞いたことがありません。
山本)占いじゃないのですから。
森田)私も大学の医学部の権威に聞いたことがありますが、ほとんど科学的根拠はないとのことです。ただ、AB型が少ないのは間違いないので、珍しい人かもね、ということでした。
番組情報
錚々たるコメンテーター陣がその日に起きたニュースを解説。佐藤優、河合雅司、野村修也、山本秀也らが日替わりで登場して、当日のニュースをわかりやすく、時には激しく伝えます。
パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。