ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月6日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。新型コロナウイルス感染症感染改題防止対策としての都立学校の休校延長について解説した。
東京都が都立学校の休校を5月末まで継続すると発表
東京都の小池知事は5日、政府が緊急事態宣言の延長を発表したことを受け 、今月5月末まで都立学校の休校と施設への休業要請を継続すると発表した。休業要請に全面的に応じた事業者には感染拡大防止協力金を追加で支給することも発表した 。
飯田)東京都は引き続き13の都道府県が特定警戒都道府県の対象となっているということですから、東京に住んでいる身としてはほぼ環境は変わらずというところですかね。
佐々木)そうですね。学校がいつまで休みになるのか気になるところです。9月入学に変えようという話も出てきています。大学ではすでにオンライン授業を行うところが増えてきていますが、義務教育では全然進んでいません。
義務教育をオンライン化すると環境の問題で落ちこぼれてしまう子供が出る
佐々木) 今回初めて東京都が通信環境のない家にパソコン端末やモバイルルーターを貸出し通信費も負担するとなっています。これは前からやれと言われていましたが、進んでいませんでした。2009年あたりのスマホが出ていないころに文部科学省は「携帯電話は学校に不必要でもってきてはいけない」と言っていました。「IT的なものを学校教育に持ち込むのはよろしくない」みたいな土壌がずっと日本の教育の分野には根付いていて、これがいまだに尾を引いています。東京の高校だと案外“BYOD”といってbring your own deviceの略ですが、要するに自分の私物のスマホとPCを使いましょうという動きがあります。学校だけでなく企業などでも、支給するPCではなく自分の使っている使いやすいPCを仕事に使いましょうという動き、これをBYODと言いますが、それを東京の都立高校でもやりましょうと。家で使っているスマホやPCを持ってきてもいいですよと、だんだん解禁されつつありますが、ただ今度は先生がついていけません。いまだにタブレットを触ったことのない先生がいたりするような、驚くべき世界ですけれど。
あともう1つの問題は、家にネットもPCもない環境です。そういった家で、これを導入して勉強させることができるのでしょうか。義務教育はそもそも家の環境が教育に積極的でない、学びの環境にない子どもをどう教育を受けさせるかということがあるわけですよね。それがオンライン教育になった瞬間に全然やらなくなる可能性があります。それを無理やりにでも学校の教室に来させて教育するということに意味があるため、義務教育をオンラインでやることにも若干問題があります。この状況のなかでそこで取りこぼされて落ちこぼれていってしまう子どもたちにどう教育を受けさせるのかが難しい課題です。
飯田)1ヵ月くらい前はオンライン教育をどうするのかという話が出てきていましたが、9月入学の話が出てきた途端に、オンライン教育の話が後ろにどんどんおいやられていくような感じがありました。これ両方考えなければいけませんよね。
佐々木)そうです。9月入学は海外のグローバル対応を含めて考えれば悪くないです。でも9月入学にしたからすべてが解決するわけではもちろんないので、きちんと教育させるかというバランスをどうとるのかみんな真面目に考えるべきだと思います。
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