「みなし失業」で休業者手当の早期受給が可能に
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月8日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。休業者も失業した場合と同じ手当を受け取れる「みなし失業」について解説した。
休業者に失業手当、個人申請で迅速な支援へ~厚生労働省が検討
厚生労働省は新型コロナウイルスの影響で休業を余儀なくされている人を対象に、失業した場合と同じ手当を支給する特例措置の検討に入ったと、8日に日本経済新聞などが報じた。企業が従業員に休業手当を支払うために申請する雇用調整助成金は、複雑な手続きが壁となり利用が伸びていない。そのため従業員が自ら申請する失業手当で早く受け取れるようにし、生活費の不足を防ぐ狙いである。
飯田)失業手当は収入や雇用保険料を払っていた年数などで違いがあり、上限は1日当たり8330円ということです。いろいろな策が出て来ましたね。
企業が申請する雇用調整助成金は手続きが複雑~個人申請で受給が可能に
宮家)本来は困っているすべての人に対応しなければいけませんが、そんなわけにも行きませんからね。特に、緊急事態になると想定外なことが起き、企業側も「こんなに手続きが面倒くさいのならやっていられない」という話になり、結局人々の怒りが高まることがあるのです。自分の会社が火の車で、今月の給料をどうやって支払うのかというときに、あの長い文章を読まされたら「時間がないなかでこんな面倒なことはできない」となってしまう。そうなると、従業員の方々は助成金を受け取れなくなってしまうわけです。その意味では、従業員が直接申請できるようになるのはいいことだと思います。ある程度の遅れは仕方がありませんが…。
飯田)こういうものは、走りながら考えることになりますものね。
宮家)最初の段階からすべてのことがわかる神様のような人はいないので、後手後手に見えるかも知れないけれど、ある程度は現実を追いかけて行かなければいけないでしょうね。
飯田)いろいろ書類を出して、給与の書類から計算式を出さなければいけないのは、経理の人に任せられる場合はいいけれど、社長が自分でやるとなると大変ですからね。
宮家)大変なのは専門の経理の人がいるような会社ではありませんから。従業員からすると、会社がちゃんとやってくれたらそれでいいのだけれど、そうでなければ自分がやらないといけない。でも、いままでは自分でできなかったわけです。
飯田)仕組み上はできませんでした。
宮家)「みなし失業」という形で対応してもらうしかないですね。
東日本大震災の際に誕生した「みなし失業」~財源は雇用保険の積み立て
飯田)東日本大震災のときに、被災地で導入したみなし失業という仕組み。通常は事業を再開した後、再び働く予定のある人は失業手当を受け取れないのだけれど、特例で受給を認めるというものです。
宮家)いろいろ弊害があるのかも知れませんが、やるしかないと思います。
飯田)不正受給の部分は後から摘発するなりして、ということになるわけですね。
宮家)でも財源は必要ですから、何でも払えばいいというものでもありません。政策をつくる人たちは大変だろうと思いますが、そうは言っても、国民1人1人の生活がかかっていますからね。
飯田)財源ですが、雇用保険の積立金が5兆円ほどあるので、その残高を利用します。その前は失業率が低くなっていたから、積み上がっている部分があったのですね。
宮家)こういうときのために積み上げて来たものですから、効率よく使って欲しいです。
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