森永卓郎が解説~コロナ不況の原因は行き過ぎたグローバル化にあり
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「垣花正 あなたとハッピー!」(5月27日放送)に経済アナリストの森永卓郎が出演。コロナ不況の原因は「行き過ぎたグローバル化にある」という持論を展開した。
戦後最大の不況が訪れる~グローバル資本主義による影響
新型コロナウイルスの感染拡大で世界が大不況に陥っています。おそらく戦後最大の不況が訪れて、いまの状況だと今後数年は続くだろうと言われています。もちろん、新型コロナがきっかけではありますが、この大きな不況のもう1つの原因は、ベルリンの壁の崩壊以降、この30年間、世界中を席巻して来たグローバル資本主義が与えた影響ではないかと考えています。
30年前であればこれほど早く世界中に拡がることはなかった
なぜ、世界中に新型コロナウイルスが感染拡大したのか。発生源についてはいろいろありますが、最初に大量発生したのは中国の武漢でした。これが30年前の人の移動であれば、世界中にこれほど早く拡がることはなかったと思います。武漢との直行便はなかったですし、極論を言うと、武漢の風土病で終わっていた可能性も高いと思います。いまはとてつもない人が世界中で動き回っているので、どこかでウイルスが発生すると、あっという間に世界中に拡がるということが今回わかりました。
サプライチェーンというグローバル主義の問題点
グローバル資本主義の2つ目の問題点は、サプライチェーンという問題です。これは短期間で終わりましたが、車メーカーが中国から部品が入って来ないので、車が組み立てられなくて工場が止まりました。家を建てているところも、システムキッチンやトイレが中国製で入らず、家ができているのにお客様に引き渡せないという事態が起こりました。いま慢性的にマスクが足りないのも、日本のマスクの8割が海外生産に依存していたからです。経済産業省は先日、製造業全体で国内回帰を考えた方がいいのではないかという方針を打ち出しました。いままでと真逆です。世界で安いところに大量発注して大量生産させる。例えば私が履いているジーンズは980円ですが、なぜそれができるかというと、国際流通資本が大量発注して、買い叩いて安い値段でつくっているからです。
グローバル資本主義の最大の弊害は「大都市集中」
もう1つのグローバル資本主義の最大の弊害は、大都市集中です。24年間連続で東京圏への人口流入が続いています。これはグローバル資本主義が広がった時期と合います。なぜ大都市の1人勝ちになってしまうかと言うと、経済の中心が金融にあるからです。世界には無数の都市がありますが、国際金融センターと言われているところがニューヨークやロンドン、東京、上海などせいぜい10都市くらいしかありません。なぜ一極集中するかは謎だと言われていますが、東京都の平均所得が高いことの、いちばん大きな原因は株式の譲渡益です。株で儲けている人がたくさんいて、その人たちがお金を使うから東京が栄えるという構造になっています。その結果、家賃が高くなるし、物価も高くなるのです。その高い生活コストをまかなうために、金融で儲けていない人は必死で働かなければいけないのです。それを新型コロナウイルスは直撃しました。大都市は3密の塊です。そこも新型コロナウイルスがグローバル資本主義、行き過ぎたものの矛盾を露呈したということです。
ガンディーの経済学
私はこれを見直した方がいいと思います。ガンディーの経済学、隣人の原理と言うものがあります。近くの人がつくった食べ物を食べて、近くの人がつくった服を着て、近くの大工さんが建てた家に住むという、地産地消で小さな経済単位を無数につくって行く。富山県は、お団子と串の都市構造にするということを始めました。串は富山駅から出る鉄道路線です。中心部からの鉄道沿線に小さなお団子型の経済の集団、地域をつくって行こうということです。そのなかで支え合う都市づくりがいちばんいいのではないかということです。
新型コロナによるライフスタイルの変化~テレワークの普及で都心に住まなくてもいい
新型コロナによって、私は今後のライフスタイルが変わって行くのではないかと思います。去年(2019年)不動産業者の人と話していたら、いま家を売るには、「東京都区内で駅から10分以内の物件でなければすぐ売れない」ということです。圧倒的需要はそこにあると言います。みんな電車に乗って都心の会社に通勤しなければいけないからです。でも、このままテレワークが進んだら駅から遠くてもいいわけです。ライフスタイルの大革命が起こるのではないでしょうか。そうなれば満員電車にも乗らなくていいのです。
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