データ上「緊急事態宣言」の“効果が見えない”という事実
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月1日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。東京都による休業要請が1日午前0時にステップ2に移行したニュースについて解説した。
東京都1日から大幅緩和、ステップ2へ移行
東京都は1日午前0時から新型コロナウイルス対応に伴う休業要請のステップ2に移行した。映画館や劇場、学習塾、スポーツジム、商業施設全般などへの要請が解除され、首都圏の多くの学校も再開される。
飯田)緩和の対象が広がりました。当初は2週間に1回見直すというようなことを言っていましたけれど、ここへ来て、矢継ぎ早に打って来た感じです。
自粛緩和に進む2つの理由~廃業する店や中小企業が増え、このままだと経済が死ぬ
須田)緊急事態宣言解除後という点で言うと、最大のテーマは「経済とのバランスをどう取るのか」というところだったと思うのです。当初は相当慎重なスタンスだったと思うのですが、ポイントは2つあって、1つは経済の影響…中小企業や飲食店を考えると、経営破綻、倒産というのは回避できているかも知れないけれど、廃業するところが増えて来た、要するに経営の先行きが見通せないということで、「借金を負う前にやめてしまおう」という動きが加速した。「このまま行くと経済が死んでしまうぞ」というところが、大きな影響を与えているのだと思います。
緊急事態宣言のプラスの効果・影響がデータ上で出て来ない
須田)もう1点、先週末に「やはりそうだったのか」というデータが公表されました。政府の専門家会議が開かれましたが、そのなかで提供されたデータで、推定感染日、つまり「感染が確認された段階で、その感染者はいつ感染したのか」というものがあります。大体、潜伏期間は平均5日と言われているので、シミュレーションも効くのでしょうけれども、感染した日が数の上でピークに達したのは、3月末くらいだったのではないかというデータが出て来たのです。推定感染者の数がいちばん多かったのは3月末。そうすると、緊急事態宣言を出したのは4月7日ですから、「果たして自粛の効果はあったのだろうか」という疑問が出て来ます。とは言っても、自粛をしていない、或いは緊急事態宣言を発令していないというデータはないので、「比較のしようがない」という大前提の上で話をさせていただくと、諸外国の例、例えばイギリスを見てみますと、ロックダウンすると急激に感染者数が減少するのです。しかし日本の場合は、なだらかに増えてなだらかに減って行くという状況ですから、緊急事態宣言のプラスの効果・影響がどうもデータ上で出て来ないのです。このあたりも緩和というところに加速度的に進んで行っている、1つの要因になっているのではないでしょうか。
飯田)3月末くらいというと、緊急事態宣言が出る前に都知事の深夜の緊急会見などがあって、「ロックダウン」という言葉が独り歩きし始めた時期でもあります。宣言を出す前に、すでに空気が変わっていたのかというような見方もできるのではないですか?
「8割接触減」の効果もデータからは見えない
須田)だとするならば、その段階で急激に下がるはずなのですが。
飯田)なだらかに下がっているのですね。
須田)そうです。もし仮にそれがあったとするならば、もっと急激な落ち込みをするべきなのです。
飯田)そうすると行動の要因ではなく、季節的なものなどの可能性もあるし、わからないということですか?
須田)そうです。もっと踏み込めば、「8割接触減」という効果のほどが、このデータから見えて来ないということになるわけです。もちろん、段階を経て徐々に緩和に向かうということを否定するわけではありません。ですが、自粛要請される側の飲食店等々の経営者の人たちの気持ちを考えると、「どうなのだろうか」ということにもなる。そうすると、いまの現状で言えば、ステップ2では営業が容認されているのは10時までですが、もっと長く営業してもいいのではないかという気持ちになりかねない。また、最後まで接客を伴う飲食店は営業再開が容認されませんが、矛盾を感じるのではないでしょうか。
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