米黒人男性暴行死事件~3つの異なる問題が同時に起きている

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月10日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。抗議デモが全米に広がる米黒人男性暴行死事件について解説した。

米中西部ミネソタ州での白人警官による黒人男性暴行死事件を受けた、抗議デモに参加した人々=2020年6月8日 米ニューヨーク 写真提供:産経新聞社

ジョージ・フロイドさんの死亡事件から2週間、故郷ヒューストンで葬儀

アメリカで白人警察官に拘束され死亡した黒人男性ジョージ・フロイドさんの葬儀が日本時間の10日午前1時から、フロイドさんの故郷のテキサス州ヒューストンで営まれた。事件から2週間、抗議デモは全米に広がっている。

飯田)葬儀にはおよそ500人が参列しました。大統領選、民主党候補に指名が確定したバイデン前副大統領もビデオメッセージを送ったということです。白人警官がジョージ・フロイドさんを拘束した際に殺めたことが発端となり、抗議デモは全米に広がり略奪なども起きているとのことです。

6日、黒人男性暴行死事件を巡り、米連邦議会議事堂周辺で抗議するデモ参加者=2020年6月7日 ワシントン(UPI=共同) 写真提供:共同通信社

黒人問題、経済的な困窮からの奪略、政治的な動きの破壊活動~3つの異なるものが同時に起きている

高橋)黒人に対する警察の暴行は根が深く、この話をすると、ほとんどのアメリカ人が奴隷制の話を思い浮かべます。確かにアメリカでは人種差別がとても激しいです。表向きにはなくなりましたが、根底には残っていて、同じような事件は数年前にもあって、何度もあります。その度に警察改革と言われますが、状況が変わることはありません。いまはコロナで失業してしまっている人たちがいます。そういう人たちが、こういう平和的なデモにかこつけて略奪を行っているという側面もあります。平和的なデモをすることと、略奪をするというまったく異なることが、同時に起きてしまっているのです。さらにその上に、政府機関への破壊活動もあります。これも違う人が行っているという感じで、黒人問題に対するデモと、経済的な困窮からの略奪、そして政治的な動きの破壊活動の3つが同時に起きている気がします。

飯田)もともとの平和的なデモは、黒人の人たちが中心で「Black Lives Matter~黒人の命は大切だ」とやるのですが、そのなかにもサポーターとして白人の方がいます。略奪や破壊活動は黒人の方々もいるかも知れませんが、白人の方も混ざっているのを考えると、単純な人種の話だけではないですよね。

サウスカロライナ州の畑で働く黒人奴隷(アフリカ系アメリカ人公民権運動-Wikipediaより)

根の深いアメリカでの人種差別問題

高橋)人種の話がきっかけになっているのは間違いないのですが、略奪と破壊活動は異なるだろうと思います。そこの仕分けもなかなか難しいです。ここはアメリカの複雑なところだと思います。ただ人種問題は、アメリカで生活していると本当に嫌というほど味わいます。

飯田)高橋さんもプリンストン大学にいらっしゃった時期があります。

高橋)大学のなかにいると、さすがにそういうことはほとんどありませんが、ゴルフ場に行ったときに汚い言葉で「帰れ」と言われたこともありました。

飯田)ここはアジア人の来るところではない、というようなことですか?

高橋)そうです。日本では考えられないことなので驚きます。また、日本で警察に対してそんなに変なイメージはありませんが、アメリカの黒人からすれば、「警察官を見たらこうやって対処しろ」と小さいころから教えられるのです。「差別があるので、とにかく何を言われても黙っていろ」と。アメリカは銃社会ですので、撃たれてしまう可能性がある。1年間に1000人以上を警官が射殺しています。ただし銃社会ですので、警官のほうにも言い分があり、「放っておいたら自分たちがやられてしまう」という話なのです。銃社会と黒人差別が一緒になってしまっている。これはものすごく難しい問題です。それがきっかけになっていて、さらに輪をかけているのが、15%近くの失業者の増加です。家賃が払えなくなり、日銭もないという失業者が略奪に走るわけです。その裏側でどこが先導しているのかはわかりませんが、先導する人たちがいる。「アンティファ」という極左集団の名も出ていますが、誰が行っているかはわかりません。

飯田)アンティファは組織というわけではないと言われています。

高橋)その裏に中国の人もいるだとか、留学生が捕まっていたり、先導しているとかいろいろな話が出ていますが、まだわかりません。ただし、混沌としていることは間違いないです。

米西部ネバダ州ラスベガスでの支持者集会で演説するトランプ大統領。「米国は偉大なる再起の途上にある」と述べて11月の大統領選での再選に向け結束を求めた=2020年2月21日 写真提供:産経新聞社

大統領選は失業率で決まる~厳しい状況のトランプ大統領

飯田)コロナの影響もあって、潜在的な不満のようなものがある。失業率が上がり、家にいなければならないというストレスなどから社会不安が高まると出て来る。

高橋)出て来ますよね。コロナのようなときには、人間の本質のようなものが出ることがあります。社会的な不安が限界に達しているのかも知れません。そのなかでトランプ大統領が、いろいろなことをやっているわけです。失業率が高くなると、再選の確率は大きく落ちます。アメリカは2月から景気後退になっていて、回復するには1年以上かかる。そうなると大統領選挙のときには間に合わないのです。

飯田)経済を回復させたというのが、トランプ大統領の売りでしたよね。

高橋)アメリカは経済的に成長して、8年以上これを謳歌していましたが、最後の段階に来てこの状況です。アメリカの選挙はそのときの失業率で決まるので、トランプ大統領は難しいですね。

飯田)一方で、バイデン前副大統領は黒人層に対しての失言などもあったので、不満を持った層がバイデンさんに行くかどうか。

高橋)ですが、どちらかに行かなければならない。どちらもどちらですが、そのくらいのレベルになってしまいますよね。高齢対決で、バイデンさんが最後まで全うできるのかどうかという議論もあります。

飯田)日本として与しやすいのはバイデン前副大統領とトランプ大統領、どちらだと思いますか?

高橋)信頼関係で言えば、トランプ大統領のほうが安倍総理には有利でしょう。

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