軍事力強化する北朝鮮とイージス・アショア配備計画停止の日本

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月23日放送)にジャーナリストの有本香が出演。北朝鮮が10月に向け、大規模な軍事パレードの準備を進めているというニュースについて解説した。

23日、ハノイでの第2回米朝首脳会談のため平壌駅を出発する際、朝鮮人民軍名誉儀仗(ぎじょう)隊を閲兵する金正恩朝鮮労働党委員長(中央)=2019年2月24日 写真提供:時事通信

北朝鮮、10月に大規模な軍事パレードか~日本ではイージス・アショアの地上配備計画が停止

韓国国防省は22日、国会の国防委員会の報告で、北朝鮮の朝鮮人民軍が朝鮮労働党創設75年を迎える10月10日に大規模な軍事パレードの準備をしているとの見方を明らかにした。

飯田)聯合ニュースによればICBMや、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)なども登場するのではないかと言われています。

有本)着々とレベルを上げて来てはいます。日本側が今回、いろいろ動きがあり、イージス・アショアの配備計画を停止すると、唐突に防衛大臣が発表をしました。いまは閉会中審査をやっていますけれど、その後、総理が会見で敵基地攻撃も含めて検討することに言及しましたが、やはり、日本の歩みが遅々としています。検討したからと言って、1歩前に進むのかと言ったらそうでもない。3年前にイージス・アショアを配備するという決定がなされたときに、抑止の原理というか、「向こうがアクションを起こしたときに、こちらが敵のミサイル基地を叩くことは憲法上可能だ」と政府は言って来ているのだから、そこに歩を進めるしかないと私も言っていたわけです。しかし当時、そうは言うものの、専守防衛という日本の全体的な立て付けのなかで、これは必要だと。特にイージス艦の負担を軽減するということが大命題だったわけです。ですから、それで納得したのですが、ここに来てスパッとこれを停止してしまう。しかも、これに代わるものが明確にされていない。このアナウンスのやり方は、安全保障の問題上いかがなものかと思います。

配備候補地としてきた新屋演習場周辺の住民代表(右)に「ご迷惑をおかけした」と深く頭を下げる河野太郎防衛相=2020年6月21日、秋田県庁 写真提供:産経新聞社

安全保障の環境の変化に、国民も危機感を共有するべき

有本)日本の場合、「議論しましょう」と総理が言っても、憲法然りで、議論すら前に進まない状況です。それに比べ、向こうの独裁国家は、実際の中身がどうかということはありますけれども、どんどんレベルを上げて来ています。安全保障の環境の変化というものに、国民全体も危機感を共有して、お互いに軍拡競争をやることが是であるとは言いませんけれど、向こうがレベルを上げて来ていて、こちらが停滞しているということは危険性が増すということです。つまり、地域の不安定化を招いているという状況です。その危機感をきちんと持つべく、我々もお伝えして行かなければいけないと思います。

飯田)日本をどう守るのか、相手国から見てどう見えているかという議論がなく、定めて内向きです。地元がどう見ているかとか、議論が尽くされていないとか。

2020年5月1日、北朝鮮の順川リン酸肥料工場(平安南道)の完工式に参加した金正恩朝鮮労働党委員長(中央)<朝鮮通信=時事> 写真提供:時事通信

核ミサイルが飛んで来るかも知れない状況で、ブースターが落ちることを心配する滑稽さ

有本)地元への説明に不備があったことは大変問題です。だけど、そこは本筋とは違います。そもそも何を目的にしていたのかということが、どこかに行ってしまいます。今回も他に何か含むところがあるのかも知れませんけれど、最初に防衛大臣が停止を発表したときに、結局これも地元説明に不備があったということです。ブースターが落ちる場所がどこかわからないという話だけれども、核弾頭を積んだミサイルが飛んで来るかも知れないという状況に備えるものなのに、そのブースターが落ちることを心配するというおかしさ。ある意味で滑稽でもあるわけですけれども、このような話になり、流れてしまうのはどうなのかと思います。

飯田)与党にもあまり根回しがなかったということです。しかも代替案が、いまのところ発表されていないとなると、これでいいのかという。

有本)そうです。与党側に根回しがなかったことについて、「俺たちは聞いていない」と怒っている人がいるかのように伝わっていますが、そういうことではなく、これは中期防衛大綱にも出ている重大事であるのに、いきなりこのように発表されてしまうというのはどうなのかということです。

飯田)もともと、どうこの国を守るかというのが防衛大綱で、防衛面ではどうするのかということがあり、それで中期防衛計画があって、どういうものを導入するかという具体的な政策に落とし込んで行く。その重要なピースが一気に外れてしまう。

衆院安全保障委員会でイージス・アショア配備計画停止について答弁に臨む河野太郎防衛相=2020年6月16日午前、衆院第17委員室 写真提供:産経新聞社

安全保障の議論となると急に幼稚になってしまう日本

有本)「結果、いい方に行くからいいでしょう」と言う人もいますが、抑止力をきちんと持つというところに行くという保証は、例によってまったくありません。議論が迷走して、このままになってしまう可能性もある。政府は本気で舵取りをするという覚悟が決まっているのかどうか。世論でもこの問題が正しく理解されていません。安全保障の議論になると、急に幼稚になってしまう日本社会の悪い面です。日米安保60年というなかで、この20年で大きく環境が変わりました。これに対して、新たな局面をつくらなければいけないときに来ていると思います。アメリカ側も、国防総省は日本側の事情を酌みながらも、「固定型の防衛システムを継続するという方向も含めて、検討した方がいいのではないか」というコメントも出していました。今回のことで、「政府がアメリカ側と相当綿密に、いろいろ秘密裏にやって発表されたものでもないのかな」とおっしゃる方もいますが、私はその憶測は必ずしも当たっていないと思います。

日米安保改定60周年記念レセプション 安倍晋三首相らが記念撮影=2020年1月19日 写真提供:産経新聞社

地元が大反対すれば、国防の要の計画ですら止めてしまうのか

飯田)一部の識者の方が指摘していますけれども、「地元が大反対となると、国防の要の計画ですら止めてしまうのか、この国は」と。

有本)一部のメディアは「これを止めるのなら、辺野古も同じ理屈だから止めればいい」と言っています。野党の立憲民主党の蓮舫さんも、同じようなことをツイートし始めています。国防の根幹で、中期防衛大綱で定められていたことであっても、地元がごねることがあると、次々に見直そうかという話になってしまう。これは何とかしなければいけない。もう少し大人にならなければなりません。

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飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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