黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に宅配ポータルサイト「出前館」会長の中村利江が出演。「出前館」の今後について語った。
黒木)今週のゲストは宅配ポータルサイト「出前館」会長の中村利江さんです。大忙しの「出前館」ですけれども、まだまだ目指すところがおありだということで。
中村)これまでは単なる宅配ポータルサイトということで、インターネットで出前を受け付けるという、普通のeコマースと同じことをして来ました。そうではなく、これから私たちが目指したいのは、地域で美味しいものを一所懸命つくっている飲食店さんと、その近くに住んでいらっしゃるお客さまのマッチングです。本当は忙しくて料理ができないのだけれど、子供のためにスーパーに行って材料を買って、手づくりの料理をつくっているお母さん方がいます。であれば、チェーン店以外の近所の美味しいレストランの料理を届けてもらって、みんなでニコニコ食べる方がいいということをアピールして行きたいと思っています。地域のポータルと言いますか、インフラになりたいのです。
黒木)出前でもできるわけですよね。電話をかけて。
中村)そういうことです。ただ、電話だとお店が電話を取ったりするのに人件費がかかってしまいます。「出前館」ですと、注文が入るとお店にはレジに「ポン」と出て来ますので、楽です。日本の飲食店さんの人件費率は世界的に見ても高いですから、そこをいかに抑えて飲食店の利益を出すか。利益が出るということは、もっと美味しい食事をつくっていただけるということになりますので、そういうシステム化のお手伝いをしながら、注文を取るということをして行きたいと考えています。
黒木)そうすると、地域ごとに、配達する人材も確保しなければいけないということですか?
中村)そうです。私たちの配達代行拠点というものが、全国にやっと300拠点できました。配達員の方も3500人くらいいらっしゃいます。それぞれの地域で半径2~3キロのなかを回っていただいています。ですから、地産地消ではないですけれども、地域の商店の売上を地域でつくってお届けしているというモデルです。
黒木)配達する方も、その地域ということなので、それこそwin-winの関係ですよね。他に目指していることはありますか?
中村)飲食店さんの人材採用はコストがかかって大変なのですが、今回のコロナのようなことがありますと、せっかく雇った従業員を解雇しなければならなかったり、アルバイトさんに休んでもらわなくてはならなくなります。その方々を、そのお店の出前に私たちがドライバーとして採用させていただいて、お互いに相互理解もできれば、お店が忙しいときはお店で働いていただき、デリバリーが忙しいときは「出前館」で働いていただけるような仕組みをいま、つくっているところです。そういう雇用のバックアップもぜひ、させていただきたいと思っています。
黒木)あと、子ども食堂などもやっていらっしゃると聞きましたが。
中村)子ども食堂や、養護施設の方々というのは、給食がないとお昼が出ません。このコロナ禍ですごく大変だなと思っていまして、加盟店さんにもお声がけをして行きながら、私たちができる範囲でお弁当の無償提供をさせていただいています。最初は3000食くらいからやろうと言っていたのですが、瞬く間に5000食を超えてしまいました。皆さんに喜んでいただいたので、このような社会貢献も継続的にさせていただこうと思っております。
黒木)皆さん、喜んでくださったでしょう。
中村)そうですね。やはり、大変なときに手助けするということは、後でうちのこともご理解いただける道につながっていると思いますので、できる限りのことはして行きたいと考えております。
中村利江(なかむら・りえ)/ 宅配ポータルサイト「出前館」会長
■富山県高岡市出身。関西大学文学部卒業。
■大学在学中、学生を集めて「モーニングコール事業」を立ち上げ。
■卒業後、学生時代からアルバイトをしていた「リクルート」に就職。入社1年目でトップセールスとなり、「最優秀営業マン賞」を贈られる。
■リクルートを2年で退社。結婚・出産を経て1998年に「ハークスレイ」(ほっかほっか亭など運営)に入社。
■2001年に「出前館」の前身である「夢の街創造委員会」の取締役に就任。2002年には代表取締役社長に就任。
■出前館のビジネスモデルは面白いものだったが、開始当初は厳しい状況。しかし2005年に黒字化。2012年11月から現職。
■2020年6月12日付けで会長に就任。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳