イージス・アショア配備計画停止にまつわる“これだけの疑問”
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月24日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。イージス・アショアの配備計画停止について解説した。
イージス・アショアの配備計画停止、今後の安全保障戦略を検討
地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画の停止を受け、安倍総理は23日、自民党役員会で安全保障戦略のあり方について検討を進める考えを示した。政府・与党一体となって新しい方向性を打ち出して行きたいとしている。
飯田)政府はきょう(24日)にも、国家安全保障会議(NSC)を開いて、これを議論するということです。与党のなかでは、敵基地攻撃能力の話も取りざたされていますが、このイージス・アショアの配備計画停止はどうご覧になりますか?
ブースターの落下が理由であれば、全ての迎撃システムが稼働できなくなってしまう
高橋)公式の説明で「ブースターをどこに落とすか」という話を持って来たでしょう。それは説明としてはないなと思いました。ブースターはどんな迎撃システムにもあります。過去の経緯を見てもついていましたが、その議論は出ませんでした。なぜなら、目的は何十万の命を救うということだからです。ブースターはせいぜい数百キロですから、軽自動車が山のなかに落ちるというような話です。確率的に考えると、死者はほぼゼロです。街中に落ちても数人です。そうすると、数人の話と数十万人の話は比較検討に値しないということで、どこの国でも守る目的を考えたら、このくらいのリスクは仕方ないと無視するようなことです。それを理屈に持って来られると、「迎撃をしないのか」と思ってしまいます。これをリスクだと言うと、すべての迎撃システムが稼働できなくなることになってしまいます。不思議に思いました。
飯田)ゼロリスクを求めるということは、安全保障の世界では何もしないのと同義になってしまいます。
海上自衛隊のシステムでの運用であれば、イージス・アショアも海上自衛隊で運用するのが普通~日本だけが違うのはなぜか
高橋)秋田は海沿いだけれど、山口は海から10キロ離れているので、その10キロの間でどこかに落ちるということです。そもそも陸上自衛隊基地に落とすという話をしていたから、「これはない」と思いました。どこかに落ちても、それほど大きな問題ではありません。陸上自衛隊で議論するのは違うのではないかと。海上自衛隊の基地ならすべて海沿いですので、何の議論にもならないと思っていました。
飯田)海に落ちる。
高橋)海に落ちるということは、何も問題ないというレベルです。すごく不思議で、なぜこれを陸上自衛隊で運用するのかもわかりませんでした。海上自衛隊のシステムで運用するのであれば、イージス・アショアも海上自衛隊で運用するのが普通だと思います。
飯田)イージス艦のイージスシステムを、陸上にあげたような形だから。
高橋)わざと部隊を変える必要はありません。そちらの方が、シームレスな防衛を考えたら自然です。他の国も調べてみたら、イージス・アショアというのは、だいたい海の方がやるというので、日本だけ違う理由がよくわかりません。
飯田)どういう思惑があったのか。言われていたのは、イージス艦の負担を軽減させるためだと。そこで人員確保ができないこともあり、陸上自衛隊の方に回ったということですか?
高橋)それならば、人員を確保すればいいでしょう。それを別のところで確保しようとするのは、戦略上で考えると、そちらの方が無理がありますね。
飯田)海の上でイージスシステムを扱っている人が、ローテーションでこちらの方に回って来る方が、人のやりくりもしやすい。
高橋)もしくは陸の方が余っているのであれば、それを回してやるのが普通です。1つのシステムのなかで、オフショアと海上をシームレスにやることを考えれば。
理由をはっきりするべき
飯田)今回、停止ということになって、これから先はどうやってミサイル防衛をやって行くのでしょうか?
高橋)当面は海上がやるという話でしょう。
飯田)イージス艦に頑張ってもらうしかないですね。
高橋)理由をはっきりした方がいいです。ブースターの話は、他の防衛システムに影響が出てしまいます。
飯田)ミサイル迎撃システムは、これだけではないですからね。
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