トランプ大統領が独立記念日に演説~大統領選に余裕のない証拠
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月6日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。トランプ大統領が独立記念日にホワイトハウスで演説したニュースについて解説した。
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米西部ネバダ州ラスベガスでの支持者集会で演説するトランプ大統領。「米国は偉大なる再起の途上にある」と述べて11月の大統領選での再選に向け結束を求めた=2020年2月21日 写真提供:産経新聞社
トランプ大統領、7月4日の独立記念日に異例の演説
アメリカの独立記念日である4日、トランプ大統領がホワイトハウスで演説し、黒人男性暴行死事件に触れ「人種を越えた団結」を訴える一方で、左派とメディアを攻撃した。独立記念日に大統領が演説するのは異例。
飯田)新型コロナウイルスの拡大で中国を非難し、自身の政権の対応を絶賛したということです。政治色を出したということが異例だという指摘もありますが、どうですか?
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3日、米アイオワ州デモインの劇場で始まった民主党の党員集会(共同)=2020年2月3日 写真提供:共同通信社
通常は独立記念日に大統領演説は行わない
須田)独立記念日では、大規模なイベントが各地で繰り広げられるのですが、通常は政治的にはニュートラルな形で行われます。ただ、今年(2020年)は大統領選挙の年なので、政治色を出したのでしょう。独立記念日という日に大統領演説をして、支持を集めようということに対する強い批判が出て来るのだろうと思います。独立記念日はアメリカ国民が1つにまとまる日という意味合いを持つのに、それを分断させてしまったのではないかという批判が、既に出ています。いずれにしても、そういう行動に出たトランプ大統領からは「余裕がないな」という印象を受けます。今回の大統領選挙が厳しいのだろうということが、このことからも伺えます。
飯田)もともとは「こんなに経済をよくしたぞ」というところで大統領選に臨むはずが、コロナで完全に経済が破綻してしまいました。
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2月11日、米サウスカロライナ州の集会で演説するバイデン前副大統領(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社
蓋を開けてみないとわからない米大統領選挙
須田)そういう目論見は完全に外れたのですが、それでも雇用情勢に改善の兆しが出て来ています。そこはトランプ大統領としても、ほっとしているところではないでしょうか。株価も底堅いですからね。大統領選挙の年は、株価が上がるということは一般的なのですが、それにしても、今回はコロナの問題がまだ収束していない。そのなかでの底堅い株価というのは、これもまた不思議な状況です。マーケット関係者も戸惑っていると思います。
飯田)大統領選挙の対抗馬は、民主党のバイデンさんです。日本では報道が目立たないのですが、どうなのですか?
須田)バイデンさんというのも、あまりいい対抗馬ではありません。過去に2回大統領選にチャレンジしたことがあり、それ以降、ジョークとして「そんなことを言っていると、バイデンが大統領選に出るぞ」などと、あり得ないことが起こるというセンテンスで使われていたのですが、他に候補者がいないから、結果的に残ってしまった。とはいえ、大手メディアの世論調査ではいい数字が出ています。トランプ大統領の支持者はあまり口外しない人が多い。世論調査が来ても、「トランプさんは支持しません」と言うような人が多いものですから、大統領選挙は蓋を開けてみないとわかりません。