中国公船の領海侵犯から読み解く“日本へのメッセージ”

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月6日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。中国海警局の船の領海侵犯から見える中国のメッセージについて解説した。

習近平国家主席=2020年6月22日 写真提供:時事通信

尖閣沖で中国海警局の船が39時間領海侵入、最長記録更新

沖縄県の尖閣諸島周辺で4日、領海侵入した中国海警局の船2隻が5日午後5時45分ごろ領海を退去し、外側の接続水域に出た。2隻が領海に侵入していた時間は39時間23分で、2012年9月の尖閣国有化以降、最も長くなっている。

飯田)2ヵ月連続、83日連続で海警局の船が接続水域に侵入しています。千葉県緑区の“さとる”さん、68歳の方から、「政府は強く抗議しているようですが、抗議だけではダメですよね。犬の遠吠えにしか見えません。相手は中国です。日本は巡視船を配備して一歩も領海内に入れさせない行動を取らなければ、尖閣諸島を中国に実効支配されてしまうのではないか」といただきました。他にも、港や台風のときのシェルターのようなものをつくるなど、強い態度で示すべきではないかというご意見もあります。

沖縄県・尖閣諸島 手前から南小島、北小島、魚釣島 海上自衛隊の哨戒機「P-3C」 から=2011年10月13日 写真提供:産経新聞社

中国が反発することになったきっかけ~民主党政権時代

須田)これは過去を振り返ってみないと理解できません。民主党政権時代、当時の石原東京都知事が、東京都で尖閣を買い取ろうという動きを見せて基金をつくりました。それに対して、いろいろハレーションが起こるということで、当時の民主党政権が国有化をすると言い出した。もともとは民間の方が持たれていたものを、東京都の所有ではなく、国所有にすると。これをきっかけに、中国側が激しく反発して来るという状況になったのです。この領土問題だけでなく、経済的にも日本に対してプレッシャーをかけて来ることになり、ここ近年では日中関係が最悪という状況になったわけです。

中国、全国で新型コロナの哀悼活動 北京駅で黙祷をささげる人たち=2020年4月4日午前10時 写真提供:産経新聞社

中国と交わされた水面下での取引~状況の変化に何のメッセージがあるのか

須田)そして安倍政権になってから、その落ち着きを取り戻して行きます。安倍政権と中国サイドが水面下でやり取りをして、中国側のメンツもあるので、「1日4隻まで中国公船の侵入を認める」ということにしたのです。領海は無害通航するだけならば何の問題もないのです。それが徐々に多くなって来ると、日本側としても対処せざるを得なくなるのだけれど、無害通航の原則を貫けば、領海に入ることは問題ない。それを上限1日4隻とした。文書が交わされたわけではないのですけれども、そういう約束をした。これを喋ると、「根拠はあるのか」とよく言われますが、官邸のなかでどなたとは言わないけれども、尖閣諸島の地図、領海を含めて中国側が「きょうの公船はこういう航跡を辿りました」という、航跡の図が送られて来るということを言っています。もちろん日本側も、何隻が何時間入ったのか、どこを通ったのか全部把握しています。それをすり合わせて、「約束は守っているのだな」というところで、日本側も激しく反応しないというやり方をして来た。そういう状況で比較的落ち着いていたのですが、領海で操業する日本の漁船を中国公船が追い回したり、また4隻という上限は守っているのだけれども、今回のように滞在時間が幾何級数的に伸びて来る。そうなると、違うステージに突入したと見るべきだということになります。そして、「その背景にどのようなメッセージがあるのか」を読み解く必要がある。一旦着地した問題の状況が変わって来た。その変化には何があるのかということを、見極めなければいけないのだろうと思います。

飯田)だとすると、中国側がステージを上げて来た。エスカレートさせているのは中国側ではないですか。

中国の習近平国家主席(左)とトランプ米大統領=2020年5月14日 写真提供:時事通信

中国に対する包囲網への反発か

須田)もちろん中国側です。ですから、それに対して警告することも必要です。ただ、「なぜそれを中国がやって来たのか」と、もう1つ踏み込んで言えば、やはり米中間の動きが大きく影を落としているのだと思います。中国に対する包囲網が、アメリカだけではなく、他の先進国を巻き込む形で強まって来ています。それに対する反発、日本に対するけん制と読み解くのがナチュラルではないでしょうか。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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