安倍政権を救う~自民党部会の習主席国賓訪問中止決議
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月9日に放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。自民党の外交部会が香港国家安全維持法施行を受け、習近平主席の国賓訪問中止の決議文を提出したニュースについて解説した。
自民党部会が習主席の国賓訪問中止決議を提出
香港の国家安全維持法施行を受け、自民党の中山外交部会長は8日、中国の習近平国家主席の国賓としての日本訪問中止を要請する決議文を菅官房長官に提出した。これを受け菅官房長官は「真摯に受け止める」と発言している。
飯田)香港の情勢を受けて、国賓での来日は受け入れられないということです。政治側が香港に対して動いたのは初めてのことですよね。
中国には「言うべきは言い、しかし対話のパイプは切らさない」という姿勢を通して来た
鈴木)そうですね。第2次安倍政権ができる直前に安倍さんと話をしたとき、中国について「私は思想家ではなく、政治家だ」と発言しました。中国にもっと厳しくやって行くのかなと私は思っていましたが、中国とはWin-Winの関係で、対話をきっちりしながら進めるということでした。言うべきことは言い、対話のパイプは切らさないようにすると言ったのです。実際に第2次安倍政権になって、アメリカに対しては追従型だし、他はうまく行っていないことが多かった。そのなかで、中国に関しては一貫して来たと思います。その延長線上に、政権の総仕上げという意味もあり、習近平国家主席を国賓として招く。いまの日中関係はいいことばかりではありませんが、言うべきことは言い、新しい日中関係を築こうということだったのです。
香港問題が起き、悩んでいた安倍政権~自民党からの中止要請で取れたバランス
鈴木)しかし、ここへ来てこの香港情勢。これはやはり許せません。これに対し、政府としてどんなメッセージを出すのか。政権としても、この時期に習近平主席を呼んでいいものかどうかと悩んでいた。そのような状況のときに、政党が香港の問題は大問題だと言い出した。私はある意味で、バランスを取ったのだと思います。自民党の動きとしては、私はむしろよかったのではないかと思います。安倍官邸も、「うまくバランスを取ってくれてありがとう」という気持ちでしょう。
外交において大切な二重外交
鈴木)よく二重外交と言います。二重外交と聞くと、裏表があってよろしくないように聞こえますが、実はそうではありません。政府の方針に対して、駆け引きとして政党などが影で反対に動く。この二重外交が、外交においては大切なのです。外務省のOBなどもよく言いますが、日韓関係もそうですよ。政府同士が対立していても、裏で日韓議連が落としどころをつける。今回の自民党はよく声を上げました。もっと早く上げてもよかったのかなと思います。
飯田)強硬なことを言うときも、「国内が抑えられないから、私たちもこう言わざるを得ない」という形にすると、丸く聞こえますよね。
鈴木)うまく大儀をつくると言いますかね。それから、香港に関しては、これくらい強いメッセージを出さなければいけないと思います。
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