世界最強の防災チームが総理官邸にいるが、100年に1回規模のコロナ対応は日々手探り

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月10日放送)に元内閣官房副長官補・同志社大学特別客員教授の兼原信克が出演。コロナ対応における日本の動き、世界の動きを総括して解説した。

世界最強の防災チームが総理官邸にいるが、100年に1回規模のコロナ対応は日々手探り

挨拶する安倍総理 政府与党連絡会議 2020年8月3日 総理大臣官邸 - 首相官邸PHPより(https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202008/03sei_yoto.html)

総理官邸の防災チームは世界最強

政府は新型コロナウイルスの感染拡大で経営が悪化している医療機関を、官民ファンドを通じて本格的な支援を行う枠組みを設ける方針を固めた。また、東京都では新型コロナウイルスの患者を受け入れた医療機関を支援するため、1つの医療機関につき最低2000万円の支援金を臨時で支給することを決めている。

飯田)また、先週7日には東京都はコロナ専門病院を2つ開設するということも発表しております。兼原さん、病院は相当経営が痛んでいるということですが、全体のコロナ対応というところはご覧になってみて、いかがですか。

兼原)危機管理なのですよね。パンデミックにおいて防疫は、防災の一環なので、所謂火事とか洪水とか地震津波と同じなのですよ。考えている時間はないのですよね、こういうときは。ある作戦を遂行するだけなので、軍隊の作戦と同じです。日本政府は村山政権のときの阪神大震災ですごく批判されたので、実はあれからものすごく強くなっていて、多分私が見る限り世界最強の防災チームが総理官邸にいるのです。100人くらいのチームなのですが、パンデミックは滅多にこないので、作戦所をつくって毎年練習をしている世界ではないのです。ですので、どこに集中するか、何が痛むかといったところは日々手探りでやっているのだと思うのです。やってみてわかったことは、“高齢者が危ない”“締めすぎると経済が死んでしまう”そして“医療機関にすごく負担がかかる”ということです。

その負担としては、看護師さんなどが感染するといった件はよく話に出るのですが、一方でお金の話があります。この病気は、かかっても発症しない人がたくさんいるのです。かかってもすぐ治ってしまう人もいるのです。高齢者は悪化して重症化する方が多いのですが。あまり症状がない人を病院に入れてもすることがないのですよね。見ているだけなのです。薬も基本的にはないですから。置いておくだけなので、お医者さんからすると病院の収入は本当に困るわけです。部屋が詰まるだけなのです。

飯田)こういってはなんですが、保険手数料が稼げないですものね。

兼原)そうすると今度財政的に病院が痛むのです。深刻な問題になっていて、こういうことが段々見えてくるのですよね。

飯田)確かに、時間の経過がないと見えないですね。

兼原)地震はよくあるので、このチームは(地震の時は)本当に早いですよ。24時間でやってしまうのです。SARSのときに民主党政権で法律もつくってチームもつくったのです。しかし、この規模のパンデミックは100年に1回なので、今回は規模が違うのです。

飯田)確かに、あれは新型インフルエンザウイルス対応ですものね。

兼原)今回は、「武漢から日本人を帰せ」とかダイヤモンドプリンセス号などで大騒ぎになって、やっとですね、何しなくてはいけないかが見えてきて、厚労省の一政局の方や全国の病院、保健所などで、一生懸命動いているのだと思います。お医者さんと看護師さんたちの健康問題がいちばん大事なのですけれども、病院の財政もちゃんと手を回さないといけないということがわかったのだと思います。

世界最強の防災チームが総理官邸にいるが、100年に1回規模のコロナ対応は日々手探り

総理大臣官邸

経済とのバランスは世界中“手探り”

飯田)指定感染症に指定されているので、陽性になった人というのは無症状の方も含めて全員病院なりに隔離しなければいけない。この指定を外してもう少し柔軟にやったらどうだ、といった議論もありますが。

兼原)そうですね。一言で言うと、経済と健康なのです。若い子は免疫力が強いし、不思議に日本人、中国人、韓国人といったアジア人は死亡者が少ないのですよ。アメリカはもうすぐ16万です。日本は1000人超えたくらいですから、そうするとアメリカみたいに隔離しなくてもいいのではという議論になります。しかし、それだと経済は助かるのですが、高齢者は怖いですよ。検査しないと(ウイルスを)持っているか持っていないかもわからないし、(規制を)ゆるくしてしまうと、持っていても(外へ)出てきてしまいますからね。その仕切りはうまくできていないのだと思います。

世界中いろいろなパターンがあって、がちがちに締めているところ……台湾や韓国は臨戦態勢なので、締めることができますが、日本は戦後は完全に民主国家なのでふわっと締めるのです。台湾の人たちは自分たちは“鬼型”、日本は“仏型”と言っているらしいです。ですが、どこを選ぶかですね。ブラジルも締めなかったわけですが、すごいことになってしまっていて、どこでどうバランスを取ってどうやっていくか、世界的に手探りなのだと思います。やはり命の方が先にくるのだと思います、締めすぎると経済が死んでしまうので、それで自殺したりとかお店閉めたりとかということが出てくるので、バランスだと思います。

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