【ペットと一緒に vol.210】by 臼井京音
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ニッポン放送「ペットと一緒に」
失踪した愛犬を新型コロナ禍でも不眠不休で探し続けた、新井康之さん。その愛犬の大福くんの捜索依頼ポスターを写真に収め、無事に見つかることを同じ愛犬家として内藤さん夫妻は願い続け、気にかけていたと言います。
今回は、大福くん保護の立役者とも言える内藤さんのエピソードをお届けします。
畑のなかに小さな白い犬が……なぜ?
2020年の桜が満開の時期に埼玉県で行方不明になってしまった、シー・ズーとマルチーズのミックスの大福くん。
その姿を内藤和高さんは散歩中に偶然見つけ、念のためスマホで写真に収めたと言います。
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内藤さんが撮影した、畑のなかをさまよう大福くん
「白い長毛の小型犬でしたから、野山で生まれた野犬ではないと思いました。けれども、首輪もつけていませんし、警戒しているようで近づいても来ません。なぜひとりポツンと、畑にいるのだろうと心配になりましたね」と、内藤さんは3月25日の不思議な経験を振り返ります。
翌日、内藤さんは違う散歩コースを選び、ドッグランの前を通ったそうです。
「すると、ドッグランの出入口付近にあったポスターに目が留まりました。それは、迷い犬の情報提供を求めるもので、写真に写っていたのは前日に畑にいたコだと確信したからです」
そこで、失踪犬を探している飼い主さんの連絡先を控えようと、内藤さんはスマホでポスターを撮影したと言います。
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内藤さんが目にしたポスター(※一部画像を加工)
自宅の庭先に迷子犬が!?
ドッグランを訪れた翌日は、内藤さん夫妻は大福くんを見かけることはありませんでした。
「ところが、畑で見てから3日目の午前中、ふと庭に目をやると、フェンスの向こうに大福くんがいるではありませんか!」
畑から内藤さん宅までは、結構な距離があるため、まさか自宅の方へは大福くんは来ないだろうと思っていた内藤さん夫妻は、とても驚いたそうです。
「急いで妻を呼び、我が家の愛犬用のおやつでおびき寄せるよう頼み、私は新井さんに電話をしました。ところが、元保護犬でかつての経験からか女性が苦手だという大福くんは、妻の差し出したドッグフードを見ても尻込みして離れて行ってしまったんです」
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内藤家の愛犬は5頭のチワワ
そこからは、大福くんを捕まえるためのボランティアも駆けつけ、最終的には新井さん自身の手で大福くんを保護できました。
「本当に、本当に、よかったです。もしかして、大福くんは我が家のチワワたちのにおいが気になって、庭先までやって来たのかも知れませんね」と、内藤さんの妻の三恵子さんは語ります。
「たまたま畑をウロウロしていた小型犬が気になって写真を撮り、それからドッグランのポスターに出会って連絡先を控え、ずっと気にかけていたので庭先で見つけてすぐに新井さんに連絡ができ……。何だか、いくつもの偶然が重なって奇跡が起きたとしか考えられません」と、内藤さん。
それと同時に内藤さん夫妻は、「新井さんの情熱が、大福くんに伝わったのも間違いないでしょう」と口を揃えます。
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内藤さんが描いた愛犬の日常
絵画でも愛犬への愛情を表現
新井さんは「大福は、内藤さんご夫妻のやさしさに惹きつけられて庭先に姿を現したように思えて仕方がありません。必然だったのではないでしょうか」と語っています。
こうして、ともに犬を愛する内藤さんと新井さんは親交を深めるようになりました。
「内藤さんは絵を描くのが趣味だそうで、このような、愛犬へのやさしく柔らかな眼差しと、愛犬の飼い主さんに対する信頼と愛情が伝わって来る素晴らしいデッサンを、メールで送っていただいてもいるんです」(新井さん)。
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内藤和高さんが最近描いて新井さんに写真で送付した水彩画の下描き
内藤さんは、毎年数回、公募展で水彩の静物画を出品しているとのこと。
「展覧会には50号や100号サイズを出品しています。出品作の主題やモチーフの関係で、あまり愛犬は登場していません。犬の絵は、娘の要望で部屋に飾れる小さいサイズで描いています。静物と違って動くので、立っている姿などを『こっち向いて~』とか『動くなよ~』と語りかけながら、写真に収めたり軽くデッサンをして、あとは実物を見ながら毛質や色を再現しつつ描いて行きます」
まさに、内藤さんの生活は犬たちに彩られていると言っても過言ではないでしょう。
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内藤さんが描いた愛犬たちの姿
失踪というつらいハプニングがきっかけではありましたが、大福くんがつないだ新しく豊かな縁が生まれたこともまた、事実のようです。
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内藤さんが新井さんにメール送付した最近のデッサン(下書き)
※次回は引き続き、内藤さん一家の、5頭のチワワとウサギとアキクサインコとのペットライフを紹介します。
連載情報
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ペットと一緒に
ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!
著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。