ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月9日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。アメリカの司法省がISの戦闘員を起訴したニュースについて解説した。
アメリカがISの戦闘員を起訴、日本人ジャーナリスト殺害関与の可能性も
アメリカの司法省は10月7日、シリアでアメリカ人4人の殺害に関わったとして、IS、いわゆる過激派組織「イスラム国」の戦闘員だった2人を誘拐や殺人共謀の罪で起訴したと発表した。司法省は日本人やイギリス人の死につながった残忍な誘拐計画にも関与したと指摘していて、2015年のフリージャーナリストの後藤健二さんや湯川遥菜さん殺害に関わった可能性もあるとしている。
ISは滅びても、テロリストは新しい形で生き続ける
新行市佳アナウンサー)ISの現状、いまどうなっているのでしょうか?
宮家)形としてはシリア国内での組織的な、少なくとも領域を占拠するような活動は、もうできなくなったと思いますけれども、これですべてが終わって「めでたし」ということではありません。テロリストというのは、言い方は悪いのですが、一種の無名で気鋭のデザイナーのようなものです。デザイナーは、あるときはアルマーニに行き、あるときはピエール・カルダンと、優秀であればいくらでもブランドを変えてもいい服をつくれるわけです。同じように若い能力のあるテロリストも、アルカイダがダメならISに。ISがダメになったら、また新しい組織をつくります。このような形でテロ活動は続いて行くので、完全に根を絶やすことはできないのです。これからまた、新しい連中が形を変えてテロを続けて行くと思います。いまは静かだからと言って、我々も決して気を抜くわけにはいかないのです。
テロリストとの戦いは終わらない
新行)生き残ったテロ戦闘員もいるということですか?
宮家)10年前、15年前に比べれば、欧米各国とも、国内の監視体制、情報収集は進んでいると思います。しかし、警備の盲点を突くのがテロリストの特性です。ある対応をしても、必ずそれを打ち破る何らかの対抗策を考えるという、イタチごっこになるのだろうと思います。いま静かだからこそ、私は心配しています。
新行)新型コロナウイルスの影響で、外出制限などで兵士の配置替えをしているときに、手薄になったところを見つけて来る可能性はありますよね。
宮家)それを「力の真空」と言いますが、そういう真空ができれば、テロリストは当然そこに入って行く。守る側からすれば、仮にやられれば、そこの警備を強化する、ということの繰り返しになります。テロリスト息の根を完全に止めることは非常に難しいのです。
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