失業が増えると児童虐待も増加する理由
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に東京都江戸川区の児童相談所常勤弁護士・船崎まみが出演。児童虐待が増加する背景について語った。
黒木)今週のゲストは、東京都江戸川区の児童相談所で常勤弁護士をされている船崎まみさんです。児童虐待が増加しているという話ですが、増加している背景には、どんなことが考えられますか?
船崎)虐待は、親御さんもいろいろな問題を抱えていることが多いので、経済苦や失業が多いと増える傾向があります。法律では、これまで夫婦間での暴力は「ドメスティックバイオレンス(DV)」と呼ばれていましたが、法律の改正で、子どもの前でのDVも児童虐待になるということが決まりました。
黒木)子どもの前でも。
船崎)子どもにDVを見せるということが虐待になると法律で決まってから、「面前DV」と言うのですが、そういう通告が警察からたくさん来るようになりました。そのために、件数が多くなっているということもあります。
黒木)子どもが受ける心の傷というのは、大人が考えているよりも大きいでしょうから。さまざまなケースがありそうですが、保護者が「虐待ではない」と言う場合もありますよね。
船崎)昔から言われているのですが、親御さんのなかでは、「しつけだ」という認識を持たれていることがあります。子育ては大変で、子どもが言うことを聞いてくれないことも事実です。親としては、一生懸命やっているけれど、どうにもならなくて、つい手を上げてしまうという場面も実際にあります。そういうときに、虐待だということを受け入れがたいこともあると思います。
黒木)そういう場合、子どもを保護するだけでなく、親の意識を改善させる役割の方もいらっしゃるのですか?
船崎)児童福祉司やケースワーカーがお子さんだけでなく、親御さんとも面談をして、お子さんの気持ちを伝えたり、「それは虐待だ」と受け止めてもらえるように指導することはあります。
黒木)そういうことが行われていることを知らせてもらう、また知ることが大事ですよね。
船崎)保育園にも行っていないご家庭だと、なかなか周りも気づかないことがあります。地域やいろいろなところで気づいて、児童相談所に連絡をいただいて、こちらが知ることが大事だと思います。虐待の原因となる、親側のストレスを軽減するということで、親自体を支援することも大事なことだと思います。
黒木)そういう支援もされるのですか?
船崎)私も弁護士時代、離婚やDVの事件を取り扱っていましたので、DVを受けている親御さんがいれば話をしたり、離婚などの法律的な手続きの相談を受けるということで関わることはあります。
船崎まみ(ふなさき・まみ)/江戸川区児童相談所常駐弁護士
■1980年生まれ。東京都足立区出身。
■中央大学法学部卒業。早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了。
■2007年弁護士登録。東京弁護士会の都市型公設事務所、愛知県岡崎市の法テラス三河法律事務所と公設系事務所に約4年半勤務。
■2012年1月より北千住法律事務所勤務。
■2014年4月から東京・多摩市役所に任期付き職員として勤務。
■現在は東京・江戸川区総務部副参事。
2020年4月に開所した江戸川区児童相談所の常駐弁護士として勤務。
児童相談所常勤弁護士は東京都では初めて。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳