RCEP15ヵ国が署名でも~解決しなくてはならない「非関税障壁」の問題

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月16日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。RCEPに15ヵ国が署名したニュースを受け、自由貿易を阻害する非関税障壁について解説した。

2020年11月15日、協定署名式~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202011/15rcep.html)

RCEP、15ヵ国が署名~世界貿易3割の大型協定に

日本など15ヵ国は11月15日、オンライン形式で会合を開き、地域的な包括的経済連携(RCEP)に署名した。世界のGDPや貿易額で3割を占める大型の自由貿易協定(FTA)が発足することになる。一方、当初交渉に加わっていたインドは参加を見送った。

飯田)ASEANの10ヵ国に日中韓、それにオーストラリア、ニュージーランドなどを合わせて15ヵ国ということです。やたらと関税のことが言われております。

2020年11月15日、協定署名式~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202011/15rcep.html)

自由貿易を阻害する2つの要因~1つは「関税」

須田)自由貿易に関する是非はさておいて、今後、「世界が自由貿易を推進して行けば、経済的に成長できる」ということを前提に進んで行くわけです。自由貿易を阻害する要因は何かと言うと、2つあります。1つは関税です。相手国の製品を輸入するにあたり、一定の税率をかけましょうと。関税をかけることによって貿易量をコントロールするというやり方。税金を取ることが目的なのではなくて、貿易量をコントロールするためにこれが使われている。だから「これを撤廃して行きましょう」というのが戦後一貫した流れなのです。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

関税ではない障害である「非関税障壁」の問題

須田)もう1点は、非関税障壁と言われているものです。「関税ではない障害」という意味です。相手国の国内規則・情勢がありまして、かつて日米間でも問題になりました。日米間の貿易交渉のなかで、関税は撤廃されたのですが、なかなかアメリカ製品が日本に入って行かない。関税がかかっていないのに、なぜ入って行かないのかとアメリカサイドが調べてみると、流通経路が複雑だということがわかったのです。日本の場合、メーカーがあって問屋があって、卸があって小売りがある。この流通経路が複雑なために、アメリカ製品がそこに入ることができない。「流通経路の複雑さは、非関税障壁だ」と攻撃を受けたことがあったのです。また、ルールという点で言えば、安全基準が日本独自のものがあり、安全基準がアメリカと比べて日本は厳しい。そうするとアメリカ製品が入りにくい。このような、ありとあらゆるものが非関税障壁にカウントされてしまうのです。

飯田)なるほど。

須田)実を言うと、ここ近年、非関税障壁という部分が大きな問題になったのです。自由貿易協定、経済連携協定のなかで「ルールをどうするのか、ルールの統一を目指しましょう」と。ただ、ルールと言っても多岐にわたるわけだから、場合によっては紛争が起こります。紛争が起こった場合に、その解決手段をどういう形で形成するのか。この2つがポイントになって来たわけなのです。

習近平氏、深セン経済特区40周年大会で重要演説=2020年10月14日 中国通信/時事通信

非関税障壁において問題が起きた場合、公平公正に解決するシステムが整っていない~中国が許さなかった

須田)今回のRCEPにおいて、やはり中国がいちばん大きな問題なのです。今回、関税は確かに下がります。91%に関しては、ほぼ0になるということですが、そんなものは当然なことです。では、この非関税障壁と言われているところで、どのような乗り換え方をするのか。中国とそれ以外の国々との間で合意形成がなされたのかとなると、確かに知的財産権の問題とデータの問題、この辺りは意外と表面上はクリアされています。とは言え、もし問題が起こった場合に、公平公正なルールのもとに、紛争解決手段、紛争を解決するシステムが整っているのかと言うと、これは極めて曖昧なのです。そこは中国が許さなかったのです。

飯田)TPPでも、そこの部分が問題になりましたが、基本的には国際的な機関、国際仲裁裁なりに委ねるというところで落ち着いたと記憶しています。しかし、そんなことをしたら中国は自分に不利になってしまうと。自分のところで裁きたがるということですね。

須田)中国はそれを判断する際、その主導権を絶対に手放さないはずですし、さまざまな形でプレッシャーをかけて来ると思います。直近で考えてみてください。アリペイを運営するアント・グループの上場問題に関して、共産党の横槍が入ったとされて、いきなり上場が中止になってしまいました。

飯田)習近平国家主席の意向が働いたという報道がありました。

須田)それに関しては、現時点では検証不能なのですが。その準備を進めているなかで、外的要因が入って上場中止などということは、普通に考えたら、あってはならないことです。

飯田)企業経営にはとてもリスクですよね。

須田)いまおっしゃったようなリスクを回避する手段・手立ては残っているのですか? なぜ中国はTPPに入って来られないのか。そこをもう1度考えるべきではないでしょうか。そこを考えると、RCEPに対して過大な期待をかけることはナンセンスであるし、そこが解決されない限り、インドも復帰しません。「ひとまず関税は0にしてみたものの」という程度に終わるのではないかと思います。

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非関税障壁の問題が煮詰まっていないのが現状

飯田)例えば「関税が0になるなら、日本でつくっても中国でつくっても一緒だから中国でやってみよう」という会社が、もしかしたら、その先でいまご指摘になった非関税障壁的なもので苦しめられる可能性もあるわけですね。

須田)かなりその可能性は高いのではないかなと思います。要するに、何らルールは変わっていないということになるのではないでしょうか。

飯田)手放しで「素晴らしいことが起こりました」というような報道が続いていますが、一方で、リスクが大きく口を開けている感じがありますね。

須田)そうなのです。この手の提携のなかで、関税を0にすることは当たり前なのです。そんなところが前面に出ているというところを見てみても、「非関税障壁の部分はほとんど煮詰まっていないのだな」ということが逆に伺えるのではないかと思います。

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