与党税制改正大綱を決定~国民が求める「明確なメッセージ」がない
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月11日放送)に国民民主党代表、衆議院議員の玉木雄一郎が出演。自民、公明両党が決定した2021年度税制改正大綱について解説した。
与党が税制改正大綱を決定
自民・公明両党は12月10日、国会内で与党税制協議会を開き、2021年度税制改正大綱を決定した。固定資産税の負担軽減やエコカー減税の延長など、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた減税措置に重点を置き、国と地方を合わせた減税規模は総額600億円程度にのぼる見込みである。また、コロナ後を見据えて、脱炭素や「デジタルトランスフォーメーション(DX)」関連の設備投資減税も盛り込んでいる。
飯田)税制改正大綱について、メールもたくさんいただいております。“はるぞう”さん、北区49歳アルバイトの方。「相変わらず資産を持っている人向けの内容が多いのではないでしょうか」というものや、「いろいろ手は打っているけれど消費税については何の話もなかったですよね」と、川崎市“やすあき”さん、44歳の方からもいただいております。玉木さんどうご覧になりましたか?
「手直し」ばかりで小粒な改正
玉木)小粒ですね。税制というのは、社会や経済、生活にも影響を与えるので、ポストコロナなどを見据えて、ここで大きな見直しをするのかと思ったら、手直しの連続です。リスナーの方からいただいたご意見は、2つともとても大事なことです。いま、所得が減っている人がいる一方で、株を持っている人は、実はコロナ禍で2割くらい所得が増えているのですよ。
飯田)株が上がっていますからね。
今年も見送られた「金融所得課税の見直し」
玉木)上がっています。格差が大きくなっています。実は昨年(2019年)も「金融所得課税の見直し」が先送りになっていますが、日本は累進課税なので、お金持ちほど高い税率を払っているのですけれど、金融所得だけは例外で、どんなに持っていてもフラットで20%なのです。だから、相対的に金融所得、金融資産を持っている人には安い税金がかかる。ここをもう少し見直そうという話だったのですが、今年(2020年)も先送りにしていますよね。
飯田)もともと「銀行に貯蓄がたくさんあっても仕方がないから、投資しましょう」というなかから出て来た話なのですか?
玉木)はい。投資減税のようなことをやりましたが、格差が世界的にも広がって来ていますので、「金融所得で得している人は少し多めに負担してください」というのは当然で、「その財源で、もう少し中間層や低所得の方への支援を充実させよう」ということが、従来から言われて来たのです。しかし、自民党はそれを無視していて、今年もやらなかったということです。
飯田)そういうことですね。
日本の税制は細かくてわからない~国民が求めているのは何か
玉木)もう1つは、日本は「租税特別措置」という、それぞれの税目に特別なものを細かく入れています。しかし、そういうことではなくて、例えば、今回ドイツやイギリスがやったように、半年か1年間、消費税そのものを下げるというような、明確なメッセージを国民は求めていたと思うのです。私も税制の仕事をしていたからわかるのですが、日本の税制の最大の問題は何かと言うと、「細かすぎてわかりにくい」のですよ。税制改正でこんなに紙面を取らなくてはいけない国は日本くらいです。税理士さんの仕事がなくなるくらいシンプルにしないと、国民にはわからないですよ。現場の税務署の職員でさえ、細かくて、何が変わったのかよくわからないと言っていますから。
飯田)そうなのですか。
玉木)そのために勉強して、次の年度からの税の執行に備えているというのが実情です。
「税の三原則」はどこへ行ったのか
飯田)トランプさんは、業界ごとにあった補助金などをすべて取っ払って、税金もほぼフラットにしようということをやっていました。こういうことを日本でやろうとすると、強く抵抗されるのですか?
玉木)税金をつくるときや減税、増税をするときに用いられる「税の三原則」があります。「中立であること、公平であること、簡素であること」、これが税の三原則と言われるのですが、とにかく乱雑です。公平性という意味では、明らかに金融所得を持っている高所得者に有利になっているので、どうなのかと思います。中立と言うのは、経済活動に中立ということなのです。「Go To キャンペーン」は予算ですが、「こういうことをして欲しい、こういうことはしてはいけない」という、とても経済に中立ではなくて、中立を歪ませるようなことをたくさん個別の税制でやっています。税の三原則はどこに行ってしまったのかという感じです。
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