総務省接待問題~通信と放送の許認可権を総務省から切り離すべき
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月8日放送)にジャーナリストで東海大学教授の末延吉正が出演。東北新社、NTTと続いた総務省の接待問題について解説した。
総務省NTT接待問題、3月8日の国会で中間報告
総務省の幹部がNTTの社長らと会食していたことをめぐり、違法な接待がなかったか調査している総務省は3月8日、会食の1人当たりの代金など、国会で中間報告を行うことにしている。武田総務大臣は「重ね重ね行政や国家公務員に対する疑念を招くことになった」と陳謝した上で、違法な接待がなかったか、可能な限り対象職員を広げて徹底的に調査する考えを示している。
飯田)衛星放送の関連会社が発端となって、今度はNTTと広がって来ています。
末延)政府が放送や通信の免許を出している国は、日本やロシアなど、わずかです。アメリカが民主化政策を取ったときは、電波監理委員会というものがあって、中立的な有識者が集まった機関が免許を出すことになっていました。しかし1952年の吉田茂内閣のときに、当時の共産主義の勢力が強く、それがテレビや新聞を持って行ったらどうするのかということで、新聞紙法やテレビの許認可権が政府に移るという法改正をしてから、そのまま来ているのです。私もテレビの出身ですが、普通にやっていても、「政府に阿っているのではないか」と言われ、つらい思いをしました。チェックする相手が免許を出すのですから。そのテレビ放送と同じことが起こった。電電公社が民営化するときは20代でしたが、土光さんの土光臨調ですよ。そのあとNTTをつくる過程で、民主党が政権を獲ったら民営化に逆行する法律を出しました。だから未だに政府が株を持って管轄しています。総務大臣がNTTの社長人事なども了承するでしょう。
「総務省から許認可権を切り離す」という改革の議論をするべき
末延)つまり問題は2つあります。1つは公務員の倫理ということで言うと、それが薄れて来た。それがなぜ今回、総務省で出たかと言えば、「郵政一家」などと昔から言っていますが、その構造的な問題です。私がアメリカにいたときに、郵政関係の族議員の人が出張して来ると、お世話するのはNTTの方でしたよ。そこは変わっていないのだと思うのです。
飯田)郵政一家。
末延)倫理法ができるもとになった1996年、厚生省次官の「おねだり妻」というものがあった。それから1998年に大蔵省の「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」があった。2000年に国家公務員倫理法ができて、そのあとは多くの人がきちんとやっているのです。やっているのだけれど、構造的に許認可権限を持っているところは、やはり、時間が経つと上下関係になってしまう。特に総務省は菅総理の天領と言われているくらいで、そういう影響力が出てしまって、ご長男も絡んでいたため「甘いのではないか」という指摘がある。「通信と放送の許認可権を誰が持つのか」ということを、総務省から切り離すという改革の議論へ進んで行かないと、「あの人が悪かった、この人がだらしなかった」という話で終わってしまえば、日本はまた置いて行かれます。これをきっかけに、本質的な改革の議論に進んで欲しいということを言っておきたいと思います。
飯田)確かにあのノーパンしゃぶしゃぶのあとに、大蔵省から金融庁が分離されて、財務省になってという組織のところまでメスが入りました。一方で、おねだり妻に関しては、厚生省にはメスが入らなかったですよね。やはり、ここはやっておかなければいけないのですね。
本格的な改革が必要
末延)みんな忘れているけれども、農水省でも贈収賄に関わる問題があったではないですか。
飯田)鶏卵の。
末延)つまり霞が関の若い人は、そういうことを知らないけれど、昔の文化があったわけです。日本は難しいですよ。どこまでがお中元やお歳暮と違うのかということが。
飯田)お付き合いとどう分けるかという。
末延)難しいのですよ。日本の文化としては必要なのですが、税が関わるところはクリアにする。そのためには本格的な改革が必要だと思います。
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