ウイルスが大好きなものは“偏見”“差別”“誹謗中傷”、嫌うのは人の優しさや思いやり

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東京都医師会副会長で八王子の精神科「ひらかわクリニック」院長の平川博之氏が2020年12月24日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。昨今のコロナ禍におけるメンタル不調が増加している問題を受けて、コロナ禍を乗り切るために必要な心の持ち方について語った。

ウイルスが大好きなものは“偏見”“差別”“誹謗中傷”、嫌うのは人の優しさや思いやり

新型コロナウイルスのワクチンを接種する医療従事者(左)=2021年2月17日午前9時16分、東京都目黒区の国立病院機構東京医療センター(代表撮影) 写真提供:産経新聞社

飯田浩司アナウンサー)コロナ禍においてメンタル不調に陥らないための秘訣をお伺いしたいのですが、まずは何をしたらいいでしょうか?

平川)まずは、うろたえないことですよね。

飯田)自分の将来など、いろいろなことについて不安に感じると思うのですが、そこで一度立ち止まってみるということでしょうか?

平川)未知のものや得体の知れないものに対して、人は強い不安や混乱を抱きます。その結果、直感的に行動したり、あり得ないような不確かな情報に飛びついたりしてしまうので、注意しなければなりません。不安が強いときは、どうしても自分の考え方に近い情報ばかりを偏って収集してしまうので、バランスが悪くなりがちです。

ウイルスが大好きなものは“偏見”“差別”“誹謗中傷”、嫌うのは人の優しさや思いやり

新行市佳アナウンサー、平川博之氏、飯田浩司アナウンサー

飯田)コロナが流行り出してから、極端な意見や、攻撃的な口調の書き込みが目立つように感じます。やはり、社会全体のストレス過多な状況と関係があるのでしょうか?

平川)そうですね。これは私も非常に参考になったのですが、日本赤十字社はウイルス感染症について、「3つの感染症」という形で警鐘を鳴らしています。1つは「病気そのもの」、ウイルス感染そのものが引き起こす、身体的な病気の症状。2つ目は心理的な感染症、「不安と恐れ」です。不安や恐怖というものはとても恐ろしく、3密でなくても、マスクをしていても、簡単に感染してしまうことを指しています。3つ目は社会的な感染症で、「嫌悪・偏見・差別」などの恐怖心です。自己を守るために感染者を遠ざけてしまうことや、自粛警察などもそうですが、この兆候は本当によくないと思います。

飯田)1つ目の感染症が起こると、2つ目、3つ目と拡がって行ってしまうということですか?

平川)川崎市健康安全研究所・所長の岡部信彦先生は、「ウイルスが嫌いなものは何か知っていますか? ウイルスが嫌うものは、人の優しさや思いやりです」とおっしゃっていました。逆にウイルスが大好きなものは、偏見、差別、誹謗中傷、対立であるとも言われていました。こういったものを、ウイルスは好んで餌にするのだと。

確かにそう考えてみると、政治的に分断してしまった場合では、それに対抗するなかで信じられないほど感染が蔓延し、多数の死者を出してしまいます。この先も陽性者や濃厚接触者、感染症から回復された方が、身近にたくさん増えて来ると思います。そうしたときに、イソップ物語で言えば北風政策ではなく、太陽政策にあたるものを我々がきちんと選択して行けるかが大事だと思いますし、それがウイルスに勝つ方策ではないかと私は思っています。

飯田)社会全体の余裕のようなものが、いまこそ必要ということでしょうか?

平川)これまでにも分断や対立はあったかも知れませんが、少なくともこの非常事態では、みんなでスクラムを組まなければいけないと思います。人類はそうやって脅威を切り抜け、生き延びて来たのではないかと思います。ワクチンももちろん大切ですが、そもそもの心根を特に大事にしたいと、私は精神科医として思っています。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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