医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が2月1日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスの重症化リスクと高血圧との関連性について解説した。
飯田浩司アナウンサー)高血圧の方は新型コロナウイルスの重症化リスクが高いと言われていますが、これはどういうことなのでしょうか。
森田)高血圧の持病があって、血圧のコントロールが上手くいっていない方々というのは、血管の老化が進んでいたり臓器がダメージを受けやすい状態になっていたりしています。そこへコロナなどの感染症による負荷がかかるために、重症化に繋がると考えられているのです。
特にコロナは、気道や肺だけではなく、内皮細胞という血管の内側の細胞にダメージをもたらすこともわかっています。コロナにかかると血栓症になることもあるので、とにかく血圧をコントロールしておくということは、重症化予防の意味でとても大事なのです。
新行市佳アナウンサー)外出自粛と高血圧というのは、何か関係ありますでしょうか?
森田)昨年春の緊急事態宣言のときに、自粛太りをしたという方が、全体の約4割いたという統計があります。運動不足になったり、塩分や炭水化物のインスタント食品、スナック菓子などを食べ過ぎたりといったことがあるのではないかと思います。ですので、この緊急事態宣言のなかで、血圧上昇のリスクが高まるといったことも、起こり得ると考えられています。
飯田)血圧というものについてなのですが、血圧計で測ると、上と下とで数字が2つ出てきますよね。あれはどういう意味なのでしょうか?
森田)心臓というのは、ポンプの働きをしていますよね。心臓のポンプがぎゅっと収縮したときに、血液は動脈を通って全身に送られ、臓器などで役割を果たした後、静脈を通って心臓に戻ってきます。血液が血管のなかを通るときに、内側から血管の壁に圧力をかけますが、これが血圧というもので、動脈の内圧を指しているのです。心臓が収縮して血液を送り出すときの血圧を、上の血圧、すなわち最高血圧と呼んでおり、反対に、血液が心臓に戻ってきて心臓が膨らみ、収縮していないときの血圧を、下の血圧、すなわち最低血圧と呼んでいます。これが血圧計で測ると表示される、上と下という2つの数字です。
高血圧の定義というものがありまして、上の血圧が140mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上、どちらかがこの値であれば、高血圧症と診断されます。しかし、これはあくまで病院で測った値であり、例えば自宅の血圧計などで測った場合は、上が130mmHg、下が85mmHg、どちらか一方でもこの値であれば、高血圧と考えられます。病院と違い、家だとリラックスするので、このような定義になったのだと考えられています。
飯田)お医者さんの前で測ると、緊張して血圧が高くなったりするものなのですね。
森田)なかには白衣高血圧症といって、白衣を見ると血圧が上がるという方もいらっしゃいます。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます