緊急事態宣言解除 街の人は……?
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「報道部畑中デスクの独り言」(第239回)
ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、3月21日をもって解除された緊急事態宣言について---
首都圏1都3県に発令されていた緊急事態宣言は、3月21日いっぱいで解除となりました。
「あまり実感がない。外食に行っていないし、(飲食店の時短が)1時間延びてもそんなに変わらないかな」
「旅行に行けたらいい。でも旅行の予約が埋まって来ているので、リバウンドもありそう。いつも通り家で遊ぶことになるのかな」
「通勤は週1回ぐらいで出ている。異動の季節なので実際に会って夜の会食をしたい」
「職場の人と呑みに行きたい。リバウンドについては、飛沫感染でうつるのが8~9割と言われているので、飲食で気を付けるしかない」
解除初日の22日朝、東京・有楽町で聞いた声です。私が利用する電車は乗客が増えていると感じましたが、変化を感じない人も少なくありません。会食を望む声はあれど、解除後も、新規感染者の下げ止まりが続き、何かすっきりしない雰囲気であることは否めないところです。
ちなみに、インタビューの収録方法は新型コロナウイルス対策でいろいろと工夫しています。今回使用したのは長さ37cm、距離をとるために通常のほぼ倍の長さのガンマイクを使用しました。しかし、このマイクを向けると断られるケースがほとんどでした。結構、威圧感があるのでしょうか。
一方、ICレコーダーに直付けのガンマイクを取り付けたものにすると、ほとんどの方が回答されました。この場合もマスク着用の上、できるだけ距離をとり、正対しないでお聞きするよう努めました。
収録道具1つとっても、人の心理は随分変わるものかも知れない……改めての経験でした。回答して下さった皆さま、ご協力ありがとうございました。
さて、今回の緊急事態宣言の全面解除、基準の1つとされるのが病床使用率です。千葉県・埼玉県では下がらない状況が続いていましたが、ここへ来て30%台まで改善されて来たこと、いわゆる「ステージ3」の指標が確実になって来たことなどが解除の要因とされました。
解除に先立つ3月18日の諮問委員会では、出席者から解除の諮問に関して反対の声はなかったということですが、解除後の感染再拡大に関しては懸念の声が相次ぎました。
「首都圏はリバウンドの起こる可能性が極めて高い。国と自治体は汗をかいて確実に結果を出すことが求められる」(諮問委員会・尾身茂会長)
また医療関係者からは、「警鐘はしっかり鳴らさないと。解除で“何でも大丈夫”と誤解されないようにしないといけない」という声もありました。経済学者からは、これまでの緊急事態宣言はある程度効果があったとしながら、「さらに下げるには限界がある。他の対策を強めることで宣言は御役御免ということではないか」と、若干諦めにも似た発言も。諸手を挙げて賛成ではなく、あくまでも「条件付き」という解釈でした。
西村経済再生担当大臣も「小さな流行は起こり得る。大きな流行にはしない」ということで、春先で増えると予想される歓送迎会、謝恩会、花見での宴会は避けるよう呼びかけています。
Go To キャンペーンについては、赤羽国土交通大臣は24日の衆議院国土交通委員会で、4~5月のゴールデンウィーク前の全国再開は難しいという認識を示しています。また、首都圏1都3県の知事は、飲食店などに対する閉店時間を午後9時までとする時短要請を、4月21日まで継続することで合意しました。
気になる変異株への対応ですが、基本的対処方針ではこれまで確認された地域「イギリス」「南アフリカ」「ブラジル」に加えて「フィリピン」が追加されました。また、変異株のスクリーニング検査の抽出を早い時期に40%程度まで引き上げ、全国的な監視体制を強化することが盛り込まれました。
この40%について医療関係者は、「民間からの検体を求めることで40%の目標がたった」と、あくまでも体制の整備によるものとみていて、これができたから科学的に大丈夫というものではないようです。
だとすると、解除と言っても、あくまでも人間が決めたいわば「政治的」なもの。コロナウイルスにとってそんな人間の都合は関係ありません。人間の方はこれまで通り、マスク、消毒、飛沫を飛ばさない工夫は最低、続けて行くことになりそうです。
ある駅前では若者数人がアルコール飲料の缶を持ちながら、マスクをせず、大声で叫んでいる姿がありました。こうした行為は誤解を恐れずに言えば「飲酒運転」のようなものだと感じます。もちろん酒自体に罪はありません。問題なのは酒を飲み過ぎると、公的な空間でことの善悪の判断が鈍ってしまうことです。
飲酒運転が許されないのは誰もが理解していること。「自分のことだけしか見えないのは狭い世界、これを“私徳”という。みんなのことを考えているのは広い世界、これを“公徳”という」……道徳関連の取材で聞いたこの言葉をいま一度、肝に銘じたいと思います。(了)
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