アメリカが日本にこれまで以上に求める“いくつかのこと”~日米首脳会談

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月31日放送)に安全保障アナリストで慶応義塾大学SFC研究所上席所員の部谷直亮が出演。4月上旬に予定されている日米首脳会談について解説した。

ホワイトハウスで記者会見するバイデン米大統領(アメリカ・ワシントン)=2021年3月25日 AFP=時事 写真提供:時事通信

日米首脳会談、4月9日の開催で調整~その争点となるもの

4月上旬に予定される日米首脳会談。政府は菅総理が4月8日に米ワシントンを訪問し、9日にバイデン大統領と首脳会談を開催する方向で調整に入った。初の対面会談で日米同盟の強化を確認するとみられる。

飯田)政府関係者の話として伝えられていますが、もう2週間を切っています。かなりの強行軍だということですが、バイデンさんが対面で会う初めての首脳になります。アメリカ側の意図も含めてどうご覧になりますか?

部谷)米中関係が悪化していて、台湾問題が浮上している。一方で米中の戦力バランスでは、アメリカがどんどん不利になっています。そのなかで、「どう日本を位置付けて活用するのか」ということが争点になるのだろうと思います。

菅義偉首相、バイデン米大統領(ロイター=共同)=2021年1月28日 写真提供:共同通信社

第1列島線に入る日本列島~日本をリングに米中が殴り合うことに

飯田)アメリカは全世界で展開しているだけに、その戦力をすべて集めればすごいでしょうけれど、局所で見ると、不利になりつつあるところが出て来ているということですか?

部谷)そうですね。たとえば米軍全体では空母は11隻ありますが、横須賀には1隻だけです。中国に関しては空母を3隻持っています。その他にしてもすべて中国が優勢です。

飯田)中国が示す第1列島線、「これ以上なかには入れたくない」というところに、日本の南西諸島や台湾が入っています。

部谷)日本列島全体も入っていますね。

飯田)そうすると日本の位置は限りなく前線ということになりますね。

部谷)そうですね。日本がリングになり、そこで米中が殴り合うということにもなりかねません。

陸自・中部方面隊創隊60周年記念行事 マスク姿で行進する自衛隊員ら=2020年10月4日午前、兵庫県伊丹市の陸上自衛隊伊丹駐屯地 写真提供:産経新聞社

アメリカが日本に求めるこれまで以上のこと~「人」と「テクノロジー」への投資

飯田)そこでアメリカ側の視点として、日本を「活用」と言いました。これは、いままで以上の役割が求められているということですか?

部谷)求められています。しかも、それはいまのドイツやイギリス、フランスなどを巻き込んで、日本の島々を使って一緒に戦う。アメリカは普段から多国間で演習しています。いままでは日米関係だけだったのが、日本を中心にアメリカがいろいろな国と手を組んで多国間でやって行くというところですね。

飯田)これはいままで日本はやって来なかったことですか?

部谷)やって来なかったですね。平和安全法制では日米と多国間でやって行くということは、ある意味の伏線だったと思うのですが、「ついにそれを本当にやるという時代が来た」ということですね。もう1つ日本にアメリカが期待していることは、ブリンケン国務長官がこの間日本に来たときに面白いことを言っていました。「日本に何を期待しますか」という質問に対して、「人的資源を含めて資源への投資が必要です」と答えています。

飯田)資源への投資。

部谷)1つは人間ですよ。多国間協力をして行く上で、自衛隊幹部や官僚、日本政府そのものの能力を上げないといけない。それは言語ができるということ以外に、相手の思考法がわかってやるということです。もう1つは、テクノロジーです。中国がテクノロジーをこれだけ上げているなかで、「日本も頑張ってくれ」というメッセージではないかと思います。最近パワハラのニュースが多いですが、もう少し「自衛隊員を大事にして一緒に戦えるようにしてくれ」と、そのようなところも少し拡大解釈ではありますが、あるのだろうと思います。

【松島基地にF2戦闘機が帰還】東日本大震災の津波で大きな被害を受けた航空自衛隊松島基地に、三沢基地から第21飛行隊が帰還、F2戦闘機が展示飛行を披露した。展示飛行を終え、格納庫に戻るF2戦闘機=2016年3月20日 写真提供:産経新聞社

多国間の力を「抑止力」として中国に見せつける

飯田)安全保障の話をすると、「アメリカ軍と自衛隊の連携」というところにフォーカスしてしまうのですが、決してそれだけの分野ではないということですか?

部谷)はい。将来的にここに東南アジアやインド、オーストラリアも含めて、多国間で普段から演習をやって行くことで存在感を示して、中国に「冷静になってくれ」とすることです。

飯田)いざとなったら自分たちはこれだけの仲間と連携をするのだと。

部谷)別に戦争をするということではなく、アメリカだけだと空母1隻しかないけれども、「寄せ集めれば強いのだぞ」ということを示して、中国に少し冷静になってもらいたい。戦争をやりたくてやる国はいないので、もし起こってしまっても、対処ができるというところですね。

飯田)それがまさに抑止力ということになると。

部谷)抑止力、そして対処力ということですね。

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中国にとって日本は殴りやすい国

飯田)戦争を防ぐためにやらなければいけないことがあるのにも関わらず、日本の場合は、軍備の部分を議論したりすると、「戦争をする気か」と言われて潰されてしまう。

部谷)そうですね。しかし防ごうとしても起こってしまうのです。

飯田)起こすとなると、殴りやすい国を殴る。日本はいま中国にとって殴りやすい国に映りつつあるのですか?

部谷)なるかも知れないですね。もしくは台湾を殴るときに「気にしなくていい」ということになる可能性もあります。

飯田)そうすると、その振り上げたこぶしを、台湾がかわして避けて、そのまま日本に来る、ということもあり得ますか?

部谷)あり得ますね。

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