下がる受診率……早期発見が大事ながんの検診を受ける重要性
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東京都医師会理事で「名和医院」院長の内科医・弘瀨知江子氏が5月14日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。コロナ禍においてがん検診の受診率が下がっていることを受け、改めてその重要性を解説した。
飯田浩司アナウンサー)小学校は既に去年(2020年)から必修になっていて、2021年からは中学校、2022年からは高校と、かなり進んだがん教育に取り組んでいらっしゃると。ただ、リスクを考えると、最もがんにかかる可能性があるのは大人ですよね。大人のがん教育というと、まずは検診になりますか?
弘瀨)そうですね。それがいちばんいいと思います。
飯田)現状としてはいかがですか?
弘瀨)コロナ禍において、やはり全体の受診率が下がって来ています。
飯田)確かに病院に行くとなったとき、自分でも「どうしようか」と考えてしまった部分はあります。受診率が低下すると、将来的に影響が出ることもありますか?
弘瀨)そうですね。特にがんは早期発見が大事で、1年見過ごしてしまうと、次に見つかったときにがんが大きくなっていることも考えられます。できるだけ毎年受けていただきたいと思います。
飯田)「大人」と言っても、働いていらっしゃる方もいれば、既にリタイアされた方もいらっしゃいますし、男女の違いもあると思います。特に受診率が低い傾向にあるのは、どういった方々ですか?
弘瀨)国民健康保険を持っていらっしゃる方は、1人1人に用紙が行くようになっております。
飯田)「検診を受けてください」という案内ですか?
弘瀨)そうですね。また社会保険に入っている方々、お仕事をされている方たちは、受けるのが義務化されています。
飯田)会社から「受けてください」と言われますね。
弘瀨)社会保険のなかに入っている奥様たちや、配偶者の方たちに、受けるチャンスを失っていらっしゃる方が多いように見受けられます。
飯田)なるほど。いわゆる扶養に入っていらっしゃる方ですね。年代で分けるとどうですか?
弘瀨)働き盛りの方々のほうが、少なくなっています。
飯田)「忙しいから今年は大丈夫かな」と思ってしまう傾向にあるのでしょうか。しかし、1年の違いが大きく関わって来る場合もありますよね。
弘瀨)そうですね。
飯田)受診率をどのように高めて行くかは、なかなか難しいですよね。
弘瀨)医師会でも「どうしたら受診率が上がるか」ということは常に考えています。区のほうから要請があって、受診率が高い先生のところには、「なぜ高くなっているのかアドバイスをください」ということもアンケートで来ています。
飯田)「これに取り組んだらいいのでは」というものはありましたか?
弘瀨)「今年はやりましたか?」というような、毎回の声掛けは大事だと思います。
飯田)「この人には前に言ったからいいだろう」ということではなく、地道な努力はどこで響いて来るかわからないですものね。それから、子どもたちへのがん教育のために、スライドを用意されているというお話がありました。そういうものを大人が見る機会はないのでしょうか?
弘瀨)なかなか見る機会はないですね。できるだけ子どもたちに教育して、それをお父さんやお母さんにフィードバックしてもらいたいと思っています。そういう部分がいちばんの狙いであると考えています。
飯田)なるほど。じわじわと広がって行くということですね。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます