東京都医師会・尾﨑会長「最近では5分でわかるものも」 うつす可能性がすぐ判明する新型コロナ検査の拡充を提言

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東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が5月7日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスにおける主な検査について解説した。

東京都医師会・尾﨑会長「最近では5分でわかるものも」 うつす可能性がすぐ判明する新型コロナ検査の拡充を提言

新型コロナウイルス対策で入国者を対象とした唾液による抗原検査風景が関西空港検疫所で公開された。様々な機器が並ぶ検査室=2020年9月30日 写真提供:産経新聞社

飯田浩司アナウンサー)「抗原検査をもっと拡充・活用してはどうか」と、会長は提言なさっています。これについて詳しく伺いたいのですが、コロナに関する検査というと、いろいろな名前が出て来ますよね。PCR検査、抗原検査、抗体検査などがありますけれども、どんな違いがあるのでしょうか?

尾﨑)「PCR検査」は、ウイルスそのものが存在しているかどうかを調べる検査です。場合によっては、もう活動性のない死んだ欠片でも検出してしまいます。感染症にかかったかどうかは、ある程度わかるのですが、PCR検査で陽性だったからといって、感染力があるかないかという部分は微妙なのです。検査としては鋭敏過ぎて、拾ってしまう場合もあります。

それに対して「抗原検査」には、「定性検査」と「定量検査」というものがあります。抗原の「定量検査」だと、直接見るわけではなく間接的に、感染症にかかっているかどうかがわかります。感染力が強い場合ではかなり有用です。定量検査のほうがPCRに近いので、いま空港などに入って来る方の検査には、抗原の定量検査が使われています。

次に、抗原の「定性検査」です。感度は少々鈍いのですが、発症してから9日間程度で感染力を持った方を捕まえるという意味では、定性検査が使われています。インフルエンザの検査などで見たことがあるかも知れませんが、プレートに3滴ほど垂らして、15分後に判定するというものです。抗原定性検査は、感染力が強いときには十分使えます。つまり、人にうつす可能性がある方は引っかかるということになります。

「抗体検査」というのは、「過去にかかったことがあるかどうか」を調べる検査です。そのため、「現在かかっているか、かかっていないか」という判定には使えません。ただ、きちんとした抗体検査をやって、「中和抗体」という感染を予防するような抗体が捕まれば、その方は今後ウイルスに感染しないで過ごせる可能性が高いということです。このように、それぞれの使い道や鋭敏度など、いろいろな違いがあります。

東京都医師会・尾﨑会長「最近では5分でわかるものも」 うつす可能性がすぐ判明する新型コロナ検査の拡充を提言

新行市佳アナウンサー、尾﨑治夫氏、飯田浩司アナウンサー

飯田)そのなかで、「抗原定性検査」を拡充して行くということですか?

尾﨑)抗原の定性検査でも、感染力の強い方、つまり「うつす可能性がある」という方は捕まるはずなのです。もちろんPCR検査もたいへん精度が高く、いろいろな機械もできていますが、一般的にすぐには判明しないのです。いろいろと増幅して行かなければいけません。抗原検査の場合は15分でわかりますし、最近では5分でわかるものも出て来ています。例を挙げると、「きょうは会議に行くので、感染しているかどうか(人にうつすかどうか)をチェックしたい」という場合、抗原定性検査で陰性が出れば、「少なくとも感染力を持ったものはないだろう」と判断できます。そうすると、「私は陰性です」と報告して会議に出ることができるなど、いろいろなことに応用できます。私どもの理事会は毎週火曜日に行うのですが、火曜日の午前中に抗原定性検査をやって、「今回もみんな陰性でした」と確認して理事会に参加するようにしています。そのような使い方を、いろいろな場面で積極的にやって行くようなことが、今後は重要だと思います。

飯田)感染を抑えながら、ワクチンを広めて行くことになるのですね。

尾﨑)そうです。第4波が仮に静まったときには、そういう戦略に変えて行かないと、また同じことの繰り返しになってしまいます。

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モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

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