東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が5月4日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。新型コロナウイルスの変異株の現状について解説した。
飯田浩司アナウンサー)いままで社会へのアプローチとして会長が特に気を遣っていらっしゃったのは、「全部を引き締めてもどこかで疲れてしまうので、こうすれば大丈夫」ということでしたよね。今回の変異株に関しては、それすら難しくなったということでしょうか?
尾﨑)重症化するスピードや人数も増えますし、感染力も従来に比べたら1.3~1.9倍高いということで、いままでなら「こういう対策をしていれば感染しなかった」という例でも感染してしまいます。また、お子さんや学生さんなどはほとんどかからず、かかっても大したことがないと言われていましたけれども、最近は小さなお子さんや学生さんにも感染者が増えています。10代の方の比率も、ほんの数%などではなく、10%というようにどんどん増えています。若い方を中心に増えているのが変異株の特徴で、いずれ高齢者の方にも必ず流れて来ます。その意味でも、いま改めて気持ちを一新し、「新しいウイルスが出て来た」と思って対処してもらいたいです。去年(2020年)4月ごろの、コロナに対する「怖い」「得体が知れない」というお気持ちをもう一度持っていただいて、緊急事態宣言のなかで生活していただくということが大事です。
もちろん第3波のときに比べて、私どももかなり頑張って医療提供体制を充実させていますが、急増してしまうと対応が難しいのです。なだらかに増えれば対応できるのですが、急に増えて行くと、コロナの場合は入退院のスピードが追いつかなくなります。ですので、急増は避けなくてはいけません。
飯田)インドの変異株についても、二重変異などいろいろな言葉が飛び交っています。猛威をふるっているようですが、特性などはわかって来たのでしょうか?
尾﨑)専門家の先生も「感染力はだいぶ強いのではないか」という話をしているのと、日本人特有の「HLA」という白血球抗原があるのですが、変異株を認識できない可能性があります。ですので、「免疫力が十分発揮できない場合もあるのではないか」という説が出ています。いまのインドの状態を見ていますと、収まっていたのがまた急増しています。少なくとも感染力が強く、いままでとは違う面がありますので、これが日本に入って来ると、さらに多数の問題が起きる可能性が高いです。ここは水際対策をしっかり強化していただきたいです。インドはまだ変異株の扱いを受けていないのです。変異株の地域として認定されれば、3日間はきちんと隔離して厳しい対応になるのですが、それがまだできていません。ですので、早急にやっていただきたいです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます