キャスターの小倉智昭氏が5月11日、自身がスペシャルパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。東京オリンピック・パラリンピック開催の可否について持論を述べた。
来日せずとも、いままで通りオンラインでいいのでは
5月10日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は今月17日の広島での聖火リレーに合わせて来日を調整していた国際オリンピック委員会のバッハ会長の来日について延期することを発表した。新型コロナウイルスの感染状況による判断だが、緊急事態宣言を延長されるなど、困難な状態が続くなか、改めて東京オリンピック・パラリンピック開催の可否が議論されている。
小倉)延期してもいいような来日だったら、別に来なくてもいいんじゃないかなと思いますが、バッハ会長は何しに来るの。
森田耕次解説委員)広島市のリレーの式典に出席して、東京都で菅総理大臣だとか、組織委員会の橋本聖子会長らと会談する方向だったんですよね。
小倉)いままで通りオンラインで(やればいいのでは)。
森田)そうなんですよね。結局6月にもう1回来日という形で再調整という形になっているんですよね。
小倉)やはり本番前にどうしても会長は来ないといけないんだ。
森田)そこですよね。
制限の多い中、メディア取材はできるのか
森田)あと10日の国会答弁では、丸川オリンピック担当大臣が、報道関係者については大会組織委員会が宿泊先や移動を管理すると。メディアの方がうろうろすることが絶対にないと、こういう断言をしているんですけれども。
小倉)メディアはうろうろしますよ。だってオリンピック会場だけでオリンピック取材ができるわけじゃないんだから。街の様子だとか絶対撮りたいでしょう。コロナで日本の街の現状はどうなんだ。それでもオリンピックをやっているんだというのは当然メディアはとしては報道したくなるでしょうね。
森田)そうですよね。メディアについてはIBCという国際放送センター、それから新聞などのメディアが入るメディアプレスセンターというのが東京ビッグサイトにつくられるんですけれども、このIBC国際放送センターというのは全ての競技会場の生中継映像が送られて、そこから世界各国に発信されるわけで、海外のメディアがどっと集まるわけですよね。
小倉)東京のテレビ局やラジオ局も、自社のスタジオは東京都内にあるのに、わざわざそこにスタジオをつくってそこから出すという、妙な形になるわけですよ。なんでかというと、本来だとメダルを取った選手の引き回しというのはね、各国の局毎に順番に回ってきたりするんですよ。今回それできるかどうかわかりませんけれども、でも1つに集まっていないとダメだからというのもあるんでしょうけれども、1つになっている方がなにかとオフィシャルの記録などを渡したりするのにも便利だし、1か所にまとまった方が効率がいいからだと思うんですけどね。それがあだとなるかも。
森田)ラジオの場合ですと、机とマイクがあればIBCのなかは済むんですけど、テレビ局は各自のスタジオをつくらなければいけない。それから海外のメディアの場合には、国際映像はもちろん東京がつくって出すんでしょうけれども、各国が各国の選手を映すクルー、日本だとジャパンコンソーシアムなどをつくって、その各国向けの映像をつくらなければいけないわけですよね。これが果たして物理的に、その期間がこれから間に合うのかどうかですよね。
小倉)デジタルカメラの小さいのがあるじゃないですか。最近はあれに所謂商標のようなオリンピック委員会のマークを貼っていれば、持ち歩けて会場内でも映せたんですが、今回はその台数がものすごく絞られているんですよ。ということはね、スタンドでお客さんや家族を撮ったりするのはまかりならん。そういう映像もほとんど撮れなくなると、テレビ局も困ると思いますよ。日本は特に家族の声とか聞きたいじゃないですか。メダルを取った瞬間の家族の喜びの声とかね。そういうのができなくなったりするし。大体日本のメディア、フジテレビなどは台場じゃないですか。トライアスロンとか水泳の長距離なんかの協議は台場で行われるわけですけど、そうすると早朝の時間帯は台場が封鎖になったりするんですね。台場は通っちゃいけませんということになると、フジテレビの社員はどうやって行くの、と。オリンピック関係者は廊下に布団をひいて寝なきゃダメだねという冗談があるくらい。大変だと思うんですよね。
森田)この辺の有楽町も国際フォーラムがウェイトリフティングの会場にはなっているんですけれどもね、当然その期間中は道路規制などはあるんでしょうが。もちろん選手たちはシャトルバスだとかそういうものをつかうのですが、報道陣も公共交通機関をつかわないように、ということになっているんですよね。
小倉)今回は1局あたりの車の台数の制限もあるんですよね。通常オリンピックだと、他の国に行っても5台くらいはつかえたりするのが、今回は3台とか。各局に対する割り当てが少ないので、そうすると皆公共交通機関に走ると思うんだけど、それもダメだということになると、シャトルバスがそんなにこの狭い東京、細い道、オリンピックレーンもあまりつくらないと言っている状況のなかで、ちゃんと会場まで時間内に行けるんですか、という。それも感染対策をしながら。
メディア取材の感染対策のプランはきちんとできているのか
森田)ですから取材する側としては、もっと、ある程度、どの程度取材ができるのか、何人くらいに各国絞るのか、そしていつから入っていいのかということがきっちりとされないと、かなり取材する側としては厳しいんじゃないですか。
小倉)テレビ局関係の技術さんは最低でも1ヵ月前には入りますからね。設営が時間かかりますからね。各競技場のいろいろ下見だとか、ケーブルの関係だとかみんなチェックしないといけないわけじゃないですか。日本で行われる競技の場合は、やはり日本からの技術者たちが中心になって、代表カメラの運営だとかもやるようになると思うんですよね。それはけっこう大変なんじゃないかな。
森田)橋本聖子組織委員会長は4月自転車のテスト大会のときに、やはりこのメディアの取材が課題だと。取材エリアで選手と2メートルくらい距離を取って、取材をできるかどうかテストしたんですけれども、音響面でちょっと難しいというような課題も出てきたりしているんですよね。
小倉)オリンピックはゴールをした後、或いは試合が終わった後、必ずミックスゾーンというメディアが待っているところを通って引き上げなければいけないんですよね。それができないんじゃないかな。記者やレポーターやアナウンサーがマイクを出したりとか、ペン取材をしたりするエリアができないとなると、どうするんだろう。いま皆スポンサー名が書かれえている壁の前に立ってマイクの前でイヤホンつけて、遠くから声が聞こえるように答えているじゃないですか。そういう感じにするのかもしれませんね。
森田)国際放送センターには各国から集まってきて、当然時差があるわけですから、午後9時で閉まってくださいとか、そういうことはできないわけですよね。
小倉)レストランなんかでも24時間食事ができないとダメだし、選手や報道関係、スポンサー筋だけではなくて、その他に選手村で食事をつくる人が何人必要か、とかね、ボランティアの方、道案内の方がどれくらい必要か、とかね。各会場の、それこそ報道記者担当の人がどれくらいいるかという、その陣容を出したら、その人たちすべてにPCR検査をやるんですか、と。選手は毎日やっても、その人たちはできるんですか、という話になるじゃないですか。選手はやっていても、トイレの掃除をしたり、さまざまな報道センターだとか選手村のお掃除をしたりリネンの交換をしたりする人たちだって、全部PCR検査をしたりしないといけないわけでしょう。本来そこまでやらないと感染を防ぐことはできないじゃないですか。そういうことは全部プランはできているんですかね。
森田)7月23日開会式ですからね。
小倉)もうすぐですよ。
森田)もう5月の半ばになろうとしていますからね。
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