コロナ禍でも定期的な受診を……骨粗鬆症のリスクを整形外科医が解説
公開: 更新:
東京都医師会理事で「葛西中央病院」院長の整形外科医・土谷明男氏が5月17日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。コロナ禍における整形外科の現状について解説した。
飯田浩司アナウンサー)コロナ禍での整形外科について、現状をお伺いしたいと思うのですが、普段はどういった患者さんが多いですか?
土谷)普段は0歳~100歳以上まで、いろいろな方が受診されています。若い方は怪我やスポーツ、交通事故などが多いです。高齢者は「腰や膝が痛い」という方々が多いです。病気で言うと、若い方は痛風や、高齢者だと骨粗鬆症がすごく多いですね。
飯田)痛風の痛みというのは、「骨に異常があるのではないか」と思って、最初に整形外科へ来ることが多いのですか?
土谷)意外とご本人は、言われるのを覚悟して来ています。「痛風ですか?」と恐る恐る聞きながら来る方が多いですね。皆さん検診で、ご自分の尿酸値が高いことはわかっていますからね。
飯田)一方で、高齢者の骨粗鬆症については昔から言われていますけれども、いまも患われる方は多いですか?
土谷)そうですね。骨粗鬆症は、初期の自覚症状がほぼありません。腰や膝が痛くなったときに、高齢の方の場合は、「骨密度も調べませんか?」と言って調べることが多いです。
飯田)そこで初めて発覚するというか、自分で気づくことになるのですか?
土谷)骨密度が低くて、「骨粗鬆症ですね」と発覚することが多いです。興味深いのは、ほとんどの方が「自分は骨に自信があったのに……」とおっしゃるのです。そういう方が多いですね。
飯田)「気を遣っていたのに」「牛乳を飲んでいたのに」ということですね。そう考えると、潜在的に骨粗鬆症を抱えている方は多いのでしょうか?
土谷)多いだろうと言われています。自覚症状がないので、治療をしている方は少ないかも知れません。
飯田)氷山の一角のような話なのですね。コロナ禍になって1年以上が経ちますが、やはり先生の病院でも、患者さんの来院数などに変化はありましたか?
土谷)病院なので、入院している方もいるわけですけれども、特に外来で受診される方はかなり減りました。当初は新型コロナがどのような病気なのかよくわからなかったため、1年前のいまごろだと、外来受診する方はかなり減りました。
飯田)やはりご高齢の方が中心でしょうか?
土谷)外来でも高齢の方が多く、感染したら症状が重くなる、場合によってはお亡くなりになるという報道もされていたので、かなり受診を控えられていました。
飯田)しかし、かかりつけのお医者さんの場合は、定期的に来てもらった方がより早期発見につながるのですよね?
土谷)病気をすぐに見つけるというよりも、もう既にわかっている病気、例えば骨粗鬆症などの薬を定期的に服用するという方が多いです。骨粗鬆症は自覚症状がないので、コロナ禍で外来に来なくなった方たちは、そういった場合が多かったです。
飯田)なるほど。「いまはもう痛くないから大丈夫だろう」ということですね。
土谷)そうです。
飯田)しかし、そこで来なくなってしまうと、リスクを抱えるようなことになりますか?
土谷)そうですね。骨粗鬆症は薬を飲んでも進行するのですが、薬を飲まなければさらに進んで行きますので、定期的な薬の服用はぜひ継続していただきたいです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます