黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)にNPO法人「JHD&C(ジャーダック)」代表理事の渡辺貴一が出演。ウィッグを受け取る「レシピエント」の年齢制限について語った。
黒木)今週のゲストはNPO法人「JHD&C」代表理事の渡辺貴一さんです。寄付された髪の毛からつくったウィッグを、何らかの事情、髪の毛に悩みを持つような18歳までのお子さんのために寄付するという活動をなさっているのですが、『31cm』という本を出されるのですね。
渡辺)ありがとうございます。
黒木)「31センチなければいけない」というお話をさせていただいたのですが、これはどういう本になりますか?
渡辺)ドナーさんやレシピエント(ウィッグを受け取る人)さんなど、これまで「JHD&C」に関わった人たちがインタビューにも答えてくださって、立派な本になりました。10周年を記念してつくろうというものだったのですが、コロナと重なりまして、10周年記念の本を12周年目に出版するという形になりました。内容的には、10年間でジャーダックが何をしたかということと、これからの未来に向かって何をするかということが書かれています。
黒木)先ほどおっしゃいましたように、髪の毛を寄付する方をドナー、そのウィッグを受け取る方をレシピエント。やはり、1つのウィッグをつくるのにたくさんの髪の毛が必要なわけですよね。
渡辺)平均で言うと、50人分~100人分の間だと思います。
黒木)ウィッグをつくるためには、長さを合わせたり、髪の毛をトリートメントしたり、色を合わせたり、細かい作業をしていらっしゃるわけですよね。ウィッグをつくるのにどのくらいの時間がかかるのですか?
渡辺)髪の毛が送られて来て、毛束が寄付されてからウィッグになるまでには、少なくとも2年くらいかかっています。レシピエントさんのお手元に届くまでには、3年くらいはかかります。
黒木)ドナーさんのどなたかに差し上げて、その人の笑顔が見たいという、心と心の絆のようなものも大切にしていらっしゃると伺いました。
渡辺)それがいちばんの理由です。「人を思いやる気持ち、本当に優しい心」が基本になっていると思います。相手を思いやる気持ち、優しい気持ちの集大成のようなものが、髪の毛なので、それを100%使うためにウィッグをつくっていると言っても過言ではありません。我々以外にも、有名なウィッグ会社さんもされているのですが、だいたい年齢制限が15歳くらいまでなのです。4~15歳。中学生以上になると大人のサイズも合うので、チャリティは15歳までとされているのだと思います。「JHD&C」の場合は、制服を着て過ごす最終学年までは、無料でお渡ししています。高校3年生が集団行動をする最終学年なので、暫定的に18歳までとなっています。
渡辺貴一(わたなべ・きいち)/NPO法人「JHD&C(ジャーダック)」代表理事
■NPO法人「JHD&C(ジャーダック)」代表理事。
※特定非営利活動法人「Japan Hair Donation & Charity」
■1971年、宮崎県生まれ。
■日本初のカラーリスト(ヘアカラーのスペシャリスト)として、1996年から活動開始。
■2008年、THE SALON(現・KNOW HAIR STUDIO)を設立。
■2009年、NPO法人「Japan Hair Donation & Charity(ジャーダック)」を設立。脱毛症やがんの治療などで「頭髪に悩む子どもたち」のために、ヘアドネーションによる献髪のみでつくったメディカル・ウィッグを無償提供。
<ヘアドネーション>
■寄付された髪の毛から作ったウィッグを、 脱毛症や乏毛症、小児がんの治療など、何らかの事情で髪に悩みを抱える子どもたちに提供する活動のこと。ジャーダックでは、寄付できる髪の毛の長さを「31センチ以上」と規定。
<NPO法人「JHD&C(ジャーダック)」>
■2009年に2人の美容師が設立。
■寄付された髪だけでつくったメディカル・ウィッグを、髪に悩みを持つ18歳以下の子どもたちに無償で提供する「ヘアドネーション」の活動を日本で初めて開始したNPO法人。
■初の監修本『31cm』が2021年6月に発売予定。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳