ターミナル駅の駅弁で旅のストーリーを思い描こう

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

コロナ禍の梅雨シーズン、乗り切るカギは、「想像力」です。いつの日かお出かけしたい。あの列車に乗って行ったら、どんな旅が楽しめるだろう。そう思い巡らせることで、少しだけ気分も上がってきます。「駅弁」は、アナタの想像力をかき立ててくれる食べ物。今回は、東京のターミナル駅で販売されている旅心くすぐる駅弁に注目しながら、東京都内でも楽しめるプチ旅気分を味わっていただきましょう。

E353系電車・特急「あずさ」、中央本線・高尾~相模湖間

E353系電車・特急「あずさ」、中央本線・高尾~相模湖間

ターミナル駅の駅弁で感じる旅気分(第1回/全3回)

東京・新宿駅を毎時0分・30分に発車して行く中央線特急「あずさ」「かいじ」号。高尾までの“国電区間”を過ぎると、いよいよ本気の走りを見せてくれます。小仏トンネルへ向け、電車がモーターを唸らせて、裏高尾の山道を力強くグイグイと登って行く様子は、乗っても、撮っても惚れ惚れするもの。首都圏の身近な行楽地として高い人気を誇る高尾山ですが、中央線特急の旅でも、プチ登山気分が楽しめるのが嬉しいところです。

新宿弁当

新宿弁当

そんな中央線特急の旅を思い浮かべていただきたい駅弁といえば「新宿弁当」(1200円)。東京の主要駅のなかにはそれぞれの駅名を冠した駅弁もあり、その駅に乗り入れる路線の駅弁屋さんが携わって作られています。「新宿弁当」は平成29(2017)年のリニューアル以降、中央本線・小淵沢駅の「丸政」が製造。中央線の前身・甲武鉄道とその沿線が描かれたレトロな雰囲気の掛け紙は、いただく前から思わず見入ってしまいそうですね。

【おしながき】
・甲州小梅のご飯
・安養寺味噌使用 鮭の味噌焼き
・かまぼこ
・八ヶ岳高原の玉子焼き
・内藤とうがらし使用 原木採りの椎茸煮
・自家製タレ使用 炭火牛焼肉
・甲州名物ソースかつ
・甲州煮(里芋、人参、れんこん)
・信州野沢菜炒め
・巨峰寒天餅

新宿弁当

新宿弁当

ふたを開ければ、鮭の味噌焼き・八ヶ岳高原の玉子焼きに蒲鉾と、正統派の三種の神器が入った幕の内。とくに焼き魚に信州味噌の原点とも云われる安養寺味噌が使われたり、野沢菜炒めが入ることで、「あずさ」に乗って信州へ行きたいという気持ちになります。

新宿弁当

新宿弁当

加えて、椎茸の煮物には、新宿ゆかりの「内藤とうがらし」がピリッと効かせてあり、新宿の“地元らしさ”も両立させた駅弁に仕上げられています。「新宿弁当」には丸政の地元・甲州の食材もたっぷり。甲州名物のソースかつに煮物やデザートの巨峰寒天餅も入って、山梨らしさも感じさせてくれる駅弁となっています。

E353系電車・特急「あずさ」、中央本線・酒折~石和温泉間

E353系電車・特急「あずさ」、中央本線・酒折~石和温泉間

いざ、新宿から「あずさ」に乗れば、甲府までは約1時間半、松本までは2時間半前後。いまは程々に息抜きしながら、美味しいものをいただいて乗り越えたいところ。遠くへ行けなくても、アナタには「駅弁」があります。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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