「都民ファーストの会」が東京五輪への政策として掲げる“信じられない文言”

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月22日放送)にジャーナリストの有本香が出演。上限を各会場の定員の50%以内で最大1万人と決まった東京オリンピックの観客数について解説した。

「都民ファーストの会」が東京五輪への政策として掲げる“信じられない文言”

【東京五輪聖火リレー】聖火リレーの出発式であいさつする東京都の小池百合子知事=2021年3月25日午前、福島県のサッカー施設「Jヴィレッジ」(代表撮影) 写真提供:産経新聞社

東京オリンピックの観客「最大1万人」で正式決定

東京オリンピック・パラリンピックに向けた大会組織委員会、東京都、政府、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)の各代表による5者協議が、6月21日に東京都内で開かれ、地方を含めたオリンピック会場の観客数上限を原則的に定員の50%以内で最大1万人とすることを正式決定した。

飯田)IOCなどの大会関係者や低価格で観戦機会を提供する「学校連携観戦プログラム」で入場する児童、生徒らは別枠になるということです。また、パラリンピックは開催が8月~9月ということです。

有本)8月の後半からですよね。

飯田)7月16日までに扱いを改めて決めるということだそうです。

有本)ワクチン接種もだいぶ進むでしょうし、そのころには状況的にはよくなって来るはずですよね。

「観客上限最大1万人」~何を根拠としているのか

有本)ただ、「最大1万人」ということは、よくわかりません。会場によって観戦環境がかなり違うではないですか。2020年までは、新型コロナウイルスは未知のウイルスとして現れたので、次々と新しいことがわかって行くなかで、いろいろと対策をアップデートして行くというのはわかるのですが、オリンピックに限らず、新型コロナへの対策に関しては、常に何を根拠にしているのかがわかりにくい。

飯田)お店を何時まで開けるのかとか、お酒をどうするのかということも含めて。

有本)わかりませんよね。今回も「最大1万人」と言いますが、会場のキャパ、または屋外で観戦する場合とそうでない場合では当然違いますよね。ちなみに、国立競技場だと6万8000人ぐらいですか?

飯田)キャパシティとしては、6万8000人ですね。

有本)6万人以上ですよね。そのなかで1万人ということは、20%にも満たない。

飯田)計算上は大体15%ぐらいになるのではないかと。

有本)そこまでパラッパラということですか?

飯田)しかも、あそこはコロナ前だと暑さ対策が言われていたので、相当風が吹き抜けますからね。換気はバッチリと。

有本)その意味では、それほど問題なのでしょうか? 飯田さんもチケットを持っていますよね?

飯田)私は水泳のチケットがあります。

有本)私はビーチバレーなのですよ。

飯田)ビーチバレーだと完全に外ですよね。

有本)全然心配いらないだろうと思っているのですが。

飯田)ビーチなので風は吹き抜けますよね。

有本)吹き抜けまくりですよ。なので、まさかそこで、と思っているのです。見に行ける気満々なのですが。

アクリル板が換気を妨げているのではないか

有本)オリンピックに関してもそうなのですが、感染対策について最近、このスタジオにもありますが、実はアクリル板がよくないとか。

飯田)これが換気を妨げているのではないかという説もあります。

有本)壁をつくっているわけですから。

「都民ファーストの会」が掲げる政策~東京オリパラにおける信じられない文言

有本)一方で気になるのは、7月に東京都では東京都議選があるではないですか。オリンピックの開催都市であるわけですが、この東京都議選は今週に告示ですか?

飯田)6月25日ということです。

有本)4年前は小池知事と自民党とで大変なバトルがありました。小池都知事が立ち上げた「都民ファーストの会」があります。ここと小池都知事のいまの距離感はなかなか微妙なのですが、地方議会の場合は二元代表制ですから、知事与党と言ったところで少し国選とは距離感が違うのですけれど、都民ファーストが先ごろ、自分たちの政策集をアップデートして出しましたが、そこに信じられない文言があったのです。

「国が強行開催をするならば、東京オリパラ大会は最低でも無観客」

有本)「3つの柱」とあるのですが、最初は、「ワクチン接種を進めて経済活動を再開する」のだと。2番目は「都民を守る都民ファースト・ケア」ということなのですが、3番目に、「あらゆる事態を想定するべき。国が強行開催をするならば、東京オリパラ大会は最低でも無観客」ということを3つの柱の1つに掲げているのです。

感染対策をしつつ、「いまできる限りの盛り上げをしよう」という前向きな考え方をするべき

有本)しかし、そもそも「東京オリンピック、パラリンピックを国が強行開催するならば」という、このような文言が開催都市の知事の知事与党的な党派から出て来ること自体が、私には信じられません。国が強行開催などできるはずもなく、そもそも東京は開催都市でしょうということです。「国が強行開催をするならば」という、国会でのいつもの「強行採決だ」と言っているのと同じような話なのですが、「東京オリパラ大会は最低でも無観客だ」というようなことを3つの柱の1つにしているのです。これも「最大1万人」と同じで、無観客であればそれに越したことはありませんが、見込んでいたいろいろな収益などもあるのです。東京都としては、あらゆる感染対策をしつつ、「いまできる限りの盛り上げをしよう」という前向きな考え方にどうしてならないのかと思います。

東京都議選~7月4日の投開票には各国の代表団は到着している

有本)これは議会ですが、かなりちぐはぐだなと。選挙を意識して、一種のポピュリズムで、「とにかく“コロナは怖いのだ”という方向に持って行けば有利」だと思っているのだとすると、少し短絡的過ぎるなと思います。

飯田)その辺のスタンスの取り方は、オリンピックに関しても、共産党のように「中止だ」と主張するところもあるし、「開催するべき」という党でも温度差があるということも言われています。ただ、争点化するのかというところで、ツイッターなどで番組宛に指摘もあったのですが、「7月4日に投開票であれば、もうそのときには各国の代表団は来ていますよね」ということで、そこはどうなのだろうと。無観客かどうかの判断ということになるのでしょうか?

開催都市として「どれだけのオリンピックをやれるのか」ということが試されている場面でもある

有本)どうでしょうね。ただ、この掲げ方には、少し知事与党的な都民ファーストが、このような政策の柱を掲げている。しかもその文言が、「国が強行開催をするならば」というのは違和感があります。オリパラ開催に対して懸念を寄せる国民や都民が多いことはわかりますが、これは国際的に日本が立候補をしてやると決めたことです。そして2020年の段階で1年延期しているわけです。東京という冠たる都市が、開催都市としてあらゆるテクノロジーやマンパワーなどを駆使して、「どれだけのオリンピックをやれるのか」というところが試されている場面でもあるのです。それをただ単に、「怖い怖い」という方向に半ば煽るような形へ持って行くというのは、非常に残念だなと思います。

飯田)感染対策という意味では、海外からのお客さんは来ないということは3月の段階で決まっています。そうすると、そこをインタラクティブな形でどのように見せて行くのかという話も、本来であれば出て来るはずではないかと。

有本)もう少し建設的な話が出て来てもいいだろうと思うのです。

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