コロナ禍における近視の予防法~30センチ以内でものを見ない
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東京都医師会理事で「ささき眼科」院長の佐々木聡氏が6月23日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。コロナ禍における近視の予防法について解説した。
近視を防ぐには、近くでものを見ないこと
飯田浩司アナウンサー)コロナ禍でスマホ、パソコンなどの使用率が上がり、目の負担が増えていて、近視が心配されるというお話をいただきましたが、近視の進行を遅らせる方法はあるのですか?
佐々木)近視というのは、近くを見ることで、近くを見やすいように目が変化してくれるということになります。逆に言うと、近視になりたくなければ、近業、近くを見るということを少しでも減らすことに尽きると思います。
飯田)いま6歳になる息子がいるのですが、見ていると、ちょっと目を離したら教科書をものすごい近くで見ていることがあります。そういうものがよくないということですか?
30センチ以内でものを長時間見ない
佐々木)30センチ以内でものを見続ける、それも長時間見てしまうと、確実に近視を進行させるということがわかっています。
飯田)とりあえず30センチというのが1つの目安ですね。それ以上近づくなと。30センチというと、いわゆる竹尺くらい。姿勢をよくして本を読むなりすれば、だいたいそのくらいは間隔を空けられるという感じですか?
佐々木)そうですね。でもスマホを操作するときには、どうしても近づいてしまう。また、楽しいのでつい長時間見てしまう。そういう危険はあると思います。
飯田)親もスマホを使っているので、気付くと近くで見ていることがあり、子どもが近くでスマホを見ていると、「それでいいのだ」と思ってしまいますよね。
佐々木)親御さんも自分の姿勢を正していただいた方がいいかも知れません。
飯田)子育てをしていると、スマホで動画を観ると楽でいいのですよね。つい観せてしまうのです。
佐々木)患者さんのお母さんから聞いたのですが、YouTubeなどを観るので、テレビに映せるようにして、テレビで観せているというアイデアを聞きました。
35年間で3倍増えている近視
飯田)子どもの近視は増えているのですか?
佐々木)ある調査だと、この35年間の間に近視の人が3倍増えているということです。
飯田)近視になる入り口としては、幼少期からという人が多いのですか?
佐々木)学童近視という言葉がありますけれども、近視が発生しやすいのは小中学生の時期なので、そこで近視にならないように、きちんと守ることが必要だと思います。
飯田)私も近視で小学校3年生くらいから眼鏡をかけ出したのですが、「遠くを見ろ」と言われ続けましたけれど、結局こうなってしまいました。遠くを見せるということはいいことなのですか?
佐々木)悪いことではありません。
近視の進行を遅らせる「低濃度アトロピン」
新行市佳アナウンサー)近視の最新治療について、最近は新しい動きはあるのでしょうか?
佐々木)近視の進行抑制の研究がいろいろと進んでいます。1つは目薬です。「低濃度アトロピン」という目薬があり、諸外国では使われているのですが、日本でも治験が進んでいますので、そのうち使えるようになると思います。
飯田)目がよくなるのですか?
佐々木)あくまで進行抑制です。進行するスピードを遅らせる治療です。
屋外活動が多いほど近視が起きにくい
飯田)他にどういうものがありますか?
佐々木)以前から、「屋外活動が多いほど近視が起きにくい」ということがわかっていましたが、最近になって太陽光に含まれるバイオレットライト、紫色の光が網膜に働いて近視の抑制に効くということがわかったのです。
飯田)外での運動や日光浴がいいと。
佐々木)海外では、天気がよければ、ランチは必ず外で食べるという学校もあるくらいです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます